「風の無法者(68)」

2019-11-07

AL DI LA DELLA LEGGE(伊)「法の彼方で」、BEYOND THE LAW(英)「法の彼方で」劇場公開作

カテゴリー(Lee Van Cleef)

監督ジョルジュ・ステガーニ、脚本ウォーレン・D・キーファー、ミノ・ロイ、フェルナンド・ディ・レオ、撮影エンツィオ・セラフィン、音楽リズ・オルトラーニ、 出演リーバン・クリーフ、アントニオ・サバト、ライオネル・スタンダー、グラチェラ・グラナーダ、ゴードン・ミッチェル、バッド・スペンサー、アル・フースマン

今回のクリーフは、ヨーロッパからやって来た都会育ちの鉱山技師を助ける西部の荒くれ者といった役柄。共演は「地獄のガンマン(67)」で生きの良いメキシコ青年を演 じていたアントニオ・サバトである。ならず者カドリップ(リーバン・クリーフ)は、鉱山会社へ赴任する途中の技師ベン・ノバック(アントニオ・サバト)が運んでいた 人夫たちの給料を、二人の相棒(ライオネル・スタンダー、アル・フースマン)と一緒に駅馬車からごっそり盗み出す。しかし、途中から鉱山の銀をねらう強盗団が現れ、 カドリップは逆に銀山を守る保安官に任命されてしまう。純粋なベンに、友情を感じたカドリップは、町民の期待に応えて強盗団と戦うことになるというストーリー。町の 教会をのっとった強盗団は人質の命を5分ごとに奪うと宣告。鉱山から採掘した銀と人質を交換して、一旦は強盗団に銀を奪われるが、カドリップ保安官に率いられた鉱山 側は強盗団を待ち伏せ、集団と集団による銃撃戦へと突入する。

この戦いにおける主人公の目的意識が明確でないため、ギラギラした執念というものが浮かび上がってこない。 しかも、町を守るために立ち上がったはずなのに結局この銃撃戦に参加した鉱夫たちが残らず殺されてしまう処理の仕方も乱暴だ。サバトも生粋の都会育ちの青年という役なので、 拳銃さばきを見せる場面が少なく、唯一強盗団のボス(ゴードン・ミッチェル)を即席の望遠照準器つきライフルで倒す場面が見せ場になっている程度。また、サバトとの友情 のため、そして保安官としての使命を果たすためにカドリップが長年の相棒と思われる宣教師(ライオネル・スタンダー)を撃ち殺すラストシーンがあまりに唐突で後味が悪い。

この作品がせっかく主演したクリーフの魅力を生かせなかった理由は、クリーフの役が泥臭く、サバトの方が知的でスマートだったためだ。新しい服を着てきどってみせたり、 グラチェラ・グラナーダ相手に恋をささやいたりと、クリーフのクールさとは裏腹な、彼らしくない場面があちこちにあって違和感を感じてしまう。クリーフは常に相手の上 を行くクールさと渋さこそが魅力なのである。

ちなみに、ひげを剃り落として全く別人のイメージのバッド・スペンサーが、鉱山の支配人という役柄で出演しているのは思いがけない見物だ。