「続・荒野の1ドル銀貨(65)」

2019-11-07

IL RITORNO DI RINGO(伊)「帰って来たリンゴ」、THE RETURN OF RINGO(英)「帰って来たリンゴ」劇場公開作

カテゴリー(Giuliano Gemma)

監督ドウッチョ・テッサリ、脚本ドウッチョ・テッサリ、フェルナンド・ディ・レオ、撮影フランチェスコ・マリン、音楽エンニオ・モリコーネ、出演ジュリアーノ・ジェンマ、ロレッラ・デ・ルーカ、フェルナンド・サンチョ、ジョージ・マーティン、ニエベス・ナバロ、アントニオ・カサス、パエリート

「続」という言葉がついているが、主演がジュリアーノ・ジェンマであることを除いて「荒野の1ドル銀貨(65)」との関連はない。正確には、テッサリ監督、ジェンマ主演によるリンゴシリーズ第1作の「夕陽の用心棒・リンゴのための拳銃(65)」の続編である。これまでは、明るく陽気な役を多く演じてきたジェンマがこの作品では、珍しく寡黙でクールなガンマンを演じている。

南北戦争が終わり、戦場から帰還する途中で、モンゴメリー・ブラウンことリンゴ(ジュリアーノ・ジェンマ)は、故郷の町が凶悪なメキシコ人兄弟エステバンとパコ(フェルナンド・サンチョとジョージ・マーティン)一味によって乗っ取られ、最愛の妻ハリー(ロレッラ・デ・ルーカ)もパコと強引に結婚させられようとしていることを知った。町へは容易に入ることができない。そこで、リンゴは、肌と髪の色を染め、メキシコ人に変装して町に潜入する。このシチュエーションが、ジェンマにネロやイーストウッドばりのひげもじゃのむさ苦しいスタイルで登場させることになる。

ジェンマもこの扮装では、これまでの陽気さを見せるわけにはいかず、意識してか神経質そうに頬を引きつらせる演技を見せている。物語の前半を占めるこのスタイルはジェンマに似合っているとは言い難い。その ためか前半は活躍場面がほとんどなく、メキシコ人一味の横暴をぐっと耐えるにとどまっている。しかし、メキシコ人一味のパーティーに潜入し、ハリーと再会したところを発見されパコから右手にナイフを突き刺されてしまうことから、状況が一変する。利き手を失い一時は反撃をあきらめかけていたリンゴも、エステバンの情婦(ニエベス・ナバロ)の励ましにより、左手で拳銃の猛練習を開始する。決断し、修練の場に向かうリンゴの姿を室内から色とりどりのステンドグラスを通して映し出し、そこにモリコーネの音楽が重なるシーンが秀逸。主人公の執念が浮き彫りになるマカロニムード満点の名シーンだ。

左手での早撃ちを完成させたリンゴは、ここで登場時の騎兵隊の姿に戻り、髭もきれいに剃り上げてジェンマ本来のスポーティーなスタイルを披露することになる。ハリーとパコの強引な結婚式に血祭りにあげた手下共の棺桶を送りつける。驚くパコが振り向くと教会の扉が開き、そこに浮かぶリン ゴのシルエット。これから、テッサリ監督が得意とする砂塵ふきすさぶ町での壮絶なガンファイトが延々と展開されることになる。

さらに、対決の舞台はフェンテス一味の屋敷へと移り、屋根を突き破って部屋に躍り込むと同時に見せる早撃ち。救出した娘を抱いたまま振り向きざまの抜き撃ちなどジェンマならではの軽快なガンアクションが次々に披露される。エステバンをダイナマイトで吹き飛ばしたあと、いよいよ宿敵パコとの宿命の対決となるが、ここでは、ちょっと期待を裏切られて最後は殴り合いでの決着となる。前半の動かないジェンマに比べて後半軍服スタイルになってからは、まるで別の作品を見ているように、地を駆け、宙を舞うジェンマが堪能できる、ジェンマの代表作の一つだ。