「星空の用心棒(67)」

2019-11-07

I LUNGHI GIORNI DELLA VENDETTA(伊)「復讐の長き日々」、LONG DAYS OF VENGENCE(英)「復讐の長き日々」劇場公開作

カテゴリー(Giuliano Gemma)

監督スタン・バンス(フロレスターノ・バンティーニ)、脚本フェルナンド・ディ・レオ、アウグスト・カミニト、撮影フランチェスコ・マリン、音楽アルマンド・トヨバヨーリ、出演ジュリアーノ・ジェンマ、コンラッド・サンマルティン、ガブリエラ・ジョルジュリ、フランシスコ・ラバル、ニエベス・ナバロ、フランコ・ビアンキ

無実の罪を着せられて投獄されていた若者が脱獄を果たし、自分を陥れた悪人達に復讐していくという、何度も繰り返されたパターンの物語であるが、小道具を生かしたストーリーの面白さとジェンマのさわやかな魅力が生かされて楽しめる作品となった。

アルマンド・トヨバヨーリの音楽もトランペットとギター、ドラムの組み合わせで重い雰囲気をつくり独特の魅力を生み出している。本作ではジェンマの登場の仕方が粋である。無実の罪により3年間投獄され重労働に従事していたため、ジェンマ演じる主人公テッド・バーネットはひげも髪の毛もぼさぼさの原始人のような姿で登場する。しかも、脱獄まではジェンマの顔 を正面から捕らえずにずっと後ろ姿のまま。そのため、主演ジュリアーノ・ジェンマというタイトルを見た我々は、いったいどこにジェンマがいるのか画面をさがさなくてはならない状況になってしまう。そのジェンマが髭ぼうぼうの顔を初めて画面に現すのは追っ手を倒して、一番目の仇である嘘の証言をした床屋の所に現れたときであった。ここで、見ている者はやっぱりあのぼさぼさの髪の毛の汚れた姿がジェンマであったかと気がつくことになる。ここでジェンマ扮するテッドは、その床屋から自分を罪に陥れた仇達の名前を続々と聞き出していくのだが、1歩間違えばのどをかき切られる危険を犯しながら散髪させるこのシーンは、静かだが緊迫感に満ちた場面であった。

次のシーンで、カミソリのCMのごとくスカッとした変身したテッドが明るい日の光を浴びて登場する。夜の薄暗い髭もじゃのスタイルから、一変するこのシーンはジェンマの魅力を画面にあふれさせていた。ここで知り合った歯医者の父娘の助けを借りてテッドは本格的な復讐を開始する。仇の保安官の屋敷(そこはかつてテッドの屋敷であった)に忍び込んだテッドは金のラメ入りのチョッキと白い上着を着込んで3回目の変身をする。順番を踏みながら、徐々にきれいなジェンマに変わっていく過程はジェンマの魅力を生かそ うとする監督の意図であろうか。また脱獄して大金持ちになり復讐を果たしていくモンテ・クリスト伯をほうふつさせる見せ場でもある。

この保安官の屋敷での対決もなかなか迫力ある対決シーンとなった。敵が待ち伏せしていることを予期したテッドは、トリガーに細工をし、手を挙げた状態から撃てるようにして敵地に乗り込む。保安官はこの仕掛けを生かして倒すことができるが、傷を負った保安官が捨て身で放ったのが刃物のように研ぎ澄まされた胸の保安官バッジ。これがジェンマのマカロニウエスタン特有の小道具としてラストで生かされることになる。

最後に残った最大の敵が大地主コッブ(コンラッド・サンマルティン)頼りない敵役が多いジェンマの作品の中では「情無用のコルト(66)」で準主役を演じたコンラッド・サンマルティンはなかなかの貫録を見せている。武器の取引の現場を押さえてコッブの悪事を暴こうとしたテッドだったが、失敗。脱獄の罪によって縛り首になるところを、間一髪で救われコッブ一味との大銃撃戦となる。この銃撃戦では、扉の内側のバリケードに使っていた箪笥を敵が押し倒すと、中からとび出して瞬時に2人を打ち倒す早撃ちを見せたり、撃たれたと見せて相手が近づいた瞬間に倒したり、ジェンマの格好良いガンプレイが連続する。しかし、最後の2人を倒した段階で弾が切れ、おまけにコッブから両足を撃ち抜かれて絶体絶命。ここで、生かされるのが保安官から取り上げた手裏剣バッジということになる。アイデアかっこよさ、いろいろな面白さがミックスされたジェンマの代表作のひとつということができよう。