「荒野の一つ星(67)」

2019-11-07

WANTED(伊・英)「お尋ね者」劇場公開作

カテゴリー(Giuliano Gemma)

監督カルビン・ジャクソン・パジェット(ジョルジュ・ステガーニ)、脚本マキシミリアーノ・カプリチオーリ、フェルナンド・ディ・レオ、撮影トニー・セッキ、音楽ジャンニ・フェリオ、出演ジュリアーノ・ジェンマ、テレサ・ジンペラ、セルジュ・マルカン、ジャーマン・コボス、ジア・サンドリ、ダニエル・バルガス、ネロ・パッツォフィーニ

監督ステガーニ、音楽フェリオ、主演ジェンマというトリオで作られた、ジェンマ主演のマカロニウエスタンの1作。しかし、ストーリー展開も主人公の個性も雰囲気を盛り上げる音楽も今ひとつという感じで、日本で公開された、ジェンマ主演のマカロニウエスタンの中ではこれといった特徴がない。

グリーン・フィルド市に新任保安官として赴任したゲイリー・ライアン(ジュリアーノ・ジェンマ)は、となり町まで輸送される金を山賊一味から守り抜き、町民から大きな信頼を得る。その活躍が目障りでしかたがない牧場主兼市長のサミュエル・ゴールド(ダニエル・バルガス)と保安官の立場を狙うロイド(セルジュ・マルカン)は、ゲイリーに殺人罪の汚名をきせて投獄する。脱走したゲイリーは、5千ドルの賞金をかけられてお尋ね者になりながらも、自らの汚名をはらすために他の牧場の牛を不正な手段で手に入れていたゴールド市長の秘密を暴いて町の平和を取り戻す。

青年保安官という役柄はジェンマにピッタリではあるが、ギラギラした執念が魅力のマカロニウエスタンには清潔すぎてなんとも不釣り合い。ジェンマ作品の常だが、敵役のダニエル・バルガスもセルジュ・マルカンも悪だくみばかりで迫力がなく、宿命の対決もなく、最後は殴り合いで決着がついてしまう。ゲイリーの無実を晴らすために奔走するのも、相棒の賭博師マーティ(ジャーマン・コボス)で、映画全体もほのぼのしたムードで終わってしまった。

印象に残る場面といえば、ジェンマ扮するゲイリーが、銀行から輸送される大金を山賊の襲撃から守るために、銃火器やダイナマイトで武装した幌馬車に面白味があったことと、町のボスが他の牧場の牛を自分のものにするために焼き印の上に焼き印を押し重ねて自分の牧場の焼き印にしてしまうアイデアぐらいだ。清潔な主人公、相手女優との恋、勧善懲悪の結末と、ある面、ジェンマ作品の典型を示している作品ということが言えるかもしれない。