「夕陽の用心棒(65)」

2019-11-07

UNA PISTLA PER RINGO(伊)「リンゴのための拳銃」、PISTOL FOR RINGO(英)「リンゴのための拳銃」、TV公開題名「夕陽の用心棒」劇場未公開

カテゴリー(Giuliano Gemma)

監督ドウッチョ・テッサリ、脚本ドウッチョ・テッサリ、フェルナンド・ディ・レオ、撮影フランチェスコ・マリン、音楽エンニオ・モリコーネ、出演ジュリアーノ・ジェンマ、ロレッラ・デ・ルーカ、フェルナンド・サンチョ、ジョージ・マーティン、ニエベス・ナバロ、アントニオ・カサス、ホセ・マヌエル・マルティン、パヤリート

ジュリアーノ・ジェンマが、初めて主演したマカロニウエスタン。最初は、モンゴメリー・ウッドという変名でクレジットされており、日本での劇場公開はなされなかったが、本国イタリアでは、大ヒットしてこれからのマカロニブームとジェンマの俳優としての飛躍のきっかけとなった記念すべき作品である。

銀行を襲ったサンチョ一味(当然首領はフェルナンド・サンチョ)は、逃走する途中で国境近くの牧場に逃げ込み、立てこもる。保安官のベン(ジョージ・マーティン)は牧場の周囲を包囲して一味を捕らえようとするが、一味はメキシコへ逃亡させないと牧場の人間を一人ずつ殺すという条件を出してきた。そこで、人質救出の使命を依頼されたのが牢に入っていたエンジェル・フェイスの異名をもつ若きガンマンのリンゴ(ジュリアーノ・ジェンマ)。奪われた金の30%を報酬として受け取ることを条件に一味に潜入したリンゴは、平気で保安官から雇われてきたことをばらし、40%をもらえるなら保安官を欺くと脱出計画をもちかける。サンチョ一味から不審の目で見られながらも口八丁手八丁で彼らを煙に巻き、ついには人質を馬車に乗せて脱出させることに成功する。

人質救出に成功はしたものの、牧場主ブラウン(アントニオ・カサス)が負傷したために、牧場に残らざるを得なくなったリンゴは、残されたわずかな武器でサンチョ一味と戦うことになる。人質が解放されたことを確認して保安官たちが農場に到着するとそこには壊滅させられたサンチョ一味と、銀行から強奪された10万ドルのうち30%を抜いた7万ドルが残され、リンゴの姿は何処ともなく消えていた。

クリスマスの前後という設定のため、お祝いの爆竹や、飾り付けのベル等の小道具を効果的に活用した救出劇が展開される。砦の中でのブラウンとサンチョの情婦ドロレス(ニエベス・ナバロ)との大人のロマンスが繰り広げられたり、牧場主の娘ルビー(ロレッラ・デ・ルーカ)と保安官が婚約者という設定があったりして女優陣もなかなか華やか。

サンチョとリンゴも宿敵同士でありながら、やたらと軽口を叩き合ってユーモラスな雰囲気を全体に漂わせている。危機的な状況でも「ああ、銃が欲しい、銃はないか、どこかで聞いた言葉だな?」「シェイクスピアだ」と、のんびりした会話が交わされたり、なにかと相手をからかうリンゴが、自らの主義を主張するとき「フィーリングの問題でね」と気の利いた翻訳がなされた台詞を吐いたりするのも楽しい。マカロニ特有の緊迫感や凄みは感じられないものの飛んだり跳ねたり軽快なアクションを披露してくれるジェンマの明るい個性を気楽に楽しめる作品に仕上がっている。モリコーネの音楽は、マウリツオ・グラーフが歌う美しいバラードだ。