「怒りの用心棒(69)」

2019-11-07

IL PREZZO DEL POTERE(伊) 「権力の代償 」、PRICE OF POWER(英)「権力の代償 」、TV・DVD等公開題名「怒りの用心棒」「ダラス・ブリット」「復讐のダラス」劇場未公開

カテゴリー(Giuliano Gemma)

監督トニノ・バレリー、脚本マッシモ・パトリッツィ、撮影ステルビオ・マッシ、音楽ルイス・エンリケス・バカロフ、出演ジュリアーノ・ジェンマ、フェルナンド・レイ、バン・ジョンソン、ホセ・スアレス、ベニト・ステファネリ、ウォーレン・バンダース,レイ・サンダース、マイケル・ハーベイ、マヌエル・サルソ

大統領暗殺事件を題材に取り、暗殺者の汚名を着せられて死んだ友人の仇を討つために、暗殺団に挑戦する若者の物語。数多いマカロニウエスタンの中にあって、本格的に政治を絡ませた異色作だ。

奴隷解放を公約に掲げた合衆国大統領アーサー・ガーフィールド(バン・ジョンソン)は、自らの身の危険も顧みず、反大統領勢力が実権を握る町ダラスへやって来る。大統領の乗った列車を爆破する計画は、元北軍兵士のビル・ウイラー(ジュリアーノ・ジェンマ)の手によって阻止されるものの、街頭パレードの途中を狙撃され結局大統領は暗殺されてしまう。保安官ジェファーソン(ベニト・ステファネリ)はウイラーの親友である黒人ジャック(レイ・サンダース)を容疑者として逮捕する。無実のジャックは、護送途中で南軍崩れのならず者ウォレス(マイケル・ハーベイ)から暗殺犯の汚名を着せられたまま惨殺され、ウイラーにも嫌疑が掛けられる。ウイ ラーは、大統領暗殺事件の真相を解明するため新聞記者のニック(マヌエル・サルソ)と協力しながら、南部の実験を握ろうと暗躍する右翼の大物ピンカートン(フェルナンド・レイ)を追い詰める。暗殺団は過激派のならず者ウォレスのグループと副大統領(ホセ・スアレス)を思いのままに操ろうとするピンカートンの二派に分かれて殺し合い、ジェンマ演じる若者ウイラーは、残ったウォレス一味を倒す。

そうした軸となる物語に加えて、戦場で南軍と北軍に分かれてしまった父と子の確執、人種差別の問題などもからめて展開するストーリーは複雑だが、それがきっちりとまとめあげられている。中でも副大統領が大統領暗殺に加担していたことを暴く手掛かりをつかんだウイラーが混乱を避けるためにあえてこれを大統領の側近マクドナルド(ウォーレン・バンダース)に手渡して去っていくラストが憎い。マカロニには不似合いな大人の判断と結末である。これも、当然日本で劇場公開されてしかるべき重さをもった傑作だ。

ルイス・エンリケス・バカロフの音楽も重厚で、素晴らしい。ただ、そうしたウエスタンの本質とは異なる部分に比重が置かれているため、マカロニウエスタンとしてのアクションの切れが、今ひとつなのは、いたしかたないところだろう。