「新・さすらいの用心棒ベン&チャーリー(72)」

AMICO,STAMMI LONTANO ALMENO UN PALMO(伊)「友よ、手を取れば分かり合えるさ」、BEN AND CHARLIE(英)「ベンとチャーリー」、TV/DVD公開題名「新・さすらいの用心棒」劇場未公開

カテゴリー(Giuliano Gemma)

監督ミケーレ・ルーポ、脚本ルイジ・モンテフィオリ、セルジオ・ドナッティ、撮影アリステッド・マサセッチ、音楽ジャンニ・フェリオ、出演ジュリアーノ・ジェンマ、ジョージ・イーストマン、ビットリオ・コンジア、レモ・カピターニ、ネロ・パッツァフィーニ、ルチアーノ・カテナッチ

ジェンマとマリオ・アドルフのコンビが主演した「さすらいの用心棒(68)」と一対をなすコンビ物の作品という意味で「新・さすらいの用心棒」の題名がテレビ公開時につけられていた。しかし、「さすらいの用心棒」がDVD化されたときは、最初のテレビ公開題名である「暁のガンマン」という題名が付けられていたので、このあたりの整理は必要。本作品もきっちりとしたマカロニウエスタンではあるが、どうしても「風来坊(70)」の影響を受けてコメディタッチから抜け出せていない。

ジェンマは金髪のお調子者ベン役、堅物の相棒チャーリーをジョージ・イーストマンが演じており、脚本にもルイジ・モンテフィオリの本名でイーストマンが参加している。最初に脚本を書いたのはイーストマンだったのだが、彼の脚本は、二人の扱いが同格で、ラストでは二人が非業の死を迎えるというシリアスなものだったらしい。しかし、マカロニの主流となりかけていた「風来坊」的なコメディ作品をプロデューサーが希望し、脚本にセルジオ・ドナッティが手を加えて本作のような明るい作品となった。主役もジェンマが主演、イーストマン助演という形になり、イーストマンは不満だったことだろう。

堅気の生活を送りたいと願って いる無法者のチャーリー(ジョージ・イーストマン)は、お調子者の相棒ベン(ジュリアーノ・ジェンマ)のおかげでいつも貧乏くじを引かされている。強盗をはたらいたベンの片割れと見なされて結局2人組はお尋ね者として追われることになるが、やがて仲間となった悪党三人組(おなじみレーモ・カピターニ、ネロ・パッツォフィーニとスキンヘッドのルチアーノ・カテナッチ)の口車に乗せられて本格的な銀行強盗をはたらくようになっていく。誰が一味のボスになるかをめぐってベンとチャーリーは、一度はコンビ解消するものの、銀行強盗の際に仲間に加わった経理担 当のスミス(ビットリオ・コンジア)が三人組から殺されるにいたって、ベンとチャーリーは、再び友情を取り戻し凶悪三人組と対決することになるのだった。

ベンとチャーリーがお互いに認め合いながらも意地を張り合って友情に亀裂が入っていく描写は大味なマカロニウエスタンが多い中にあって、なかなか味があってよい描き方がなされている。さらにラストの対決は路上に投げ出された大金の入ったバッグをはさんで渡り合う、迫力のある銃撃戦が展開。馬から落ちながら鞍に装着してあるライフルを抜き取り敵の死角となる反対側へ着地、その瞬間に馬の足の間から連射するシーンはジェンママカロニの真骨頂だ。アドルフとのコンビとは違って同じくマカロニのスター同士、互いに格好の良いところを見せなければならないが、そこは、ジェンマがおちゃめな役に徹しきり、逆に格好良い見せ場はイーストマンがジェンマに譲る形になってお互いの個性を殺さずに済んでいる。

ジェンマに振り回されてあたふたさせられる堅物のイーストマンも脇ではあるがそれが良い方向に生きている。“宙に放った弾丸が落ちてきて、ウイスキーのグラスに入る”“寝込みを襲われたジェンマが裸の上に国旗を巻き付けて木の上から相手を襲う”などの度過ぎたおとぼけシーンも、二人の友情がしっかり描けており、ラストの処理もマカロニウエスタンの雰囲気を保っていることからあえて目をつむることができる。やはり壮絶さ凄惨さよりジェンマには明るさ楽しさがやはり似合っているのだ。ジャンニ・フェリオの音楽もマカロニ節とは異なるが、作品の雰囲気とピタリあった軽快な曲だ。本作品は「燃えよ荒野」という題名で劇場公開される予定もあったのだが、結局お蔵入りになってしまったのは本作が気に入っている者としては大変に残念。