「暁のガンマン(68)」

E PER TETTO UN CIELO DI STELLE(伊)「屋根にかかる空いっぱいの星」、A SKY FULL OF STARS FOR A ROOF(英)「屋根にかかる空いっぱいの星」、TV/DVD公開題名「さすらいの用心棒」劇場未公開

カテゴリー(Giuliano Gemma)

監督ジュリオ・ペトローニ、脚本アルベルト・アリエル、フランシスコ・マルティーノ、撮影カルロ・カルリーニ、音楽エンニオ・モリコーネ、出演ジュリアーノ・ジェンマ、マリオ・アドルフ、マグダ・コノプカ、リック・ボイド、アンソニー・ドーソン、ジュリー・メナード、クリス・ヒュエルタ

マカロニのブームはあっという間に終わってしまったため、ジェンマの主演作品は、「荒野の大活劇(69)」を最後に劇場で公開されることはなくなってしまった。しかし、その他のジェンマ作品は全てテレビを通して放映されることになった。人気スター、ジェンマの主演作品だけにいずれもハズレの作品はなく、一連のテレビ公開作品には、音楽、内容とも半端な劇場公開作品を凌駕するものが少なくない。

本作品は、たまたま知り合った二人の流れ者が珍道中を繰り広げながらも、最後には主人公をつけ狙う悪党親子を倒すというもの。コメディとしての楽しさが中心だが、それだけで終わらず友のために涙し、命を賭ける男の姿が心地よい。特に名優アドルフ演じるお人よしの大男ハリーが光る。

純朴なハリー(マリオ・アドルフ)と調子の良いティム(ジュリアーノ・ジェンマ)のコンビはもっと作品がつくられても良いと思うほど息がぴったりだ。プロローグ、見ず知らずの主人公二人が、たまたま出くわした駅馬車強盗の被害者たちの遺体を無言のまま埋葬するシーンはモリコーネの音楽の効果もあいまって本作品の質の高さを物語る。その後は、人魚の見世物やインチキ電報屋を騙ったり、たまたま出会った未亡人(マグダ・コノプカ)とティムがいい仲になったりという本編とは直接関係のないほのぼのとした珍道中のエピソードが続く、この辺りはペトローニ監督らしくなく、やや退屈である。それぞれのエピソードが独立しているため、そのエピソードが無くとも物語がつながってしまうのだ。実際本作が初めてTV放映されたとき、90分というテレビ放映枠の中に収めるため、ティムと未亡人に関わるエピソード部分は丸ごとカットされていた。

しかし、ティムを巻頭から執拗につけねらうサミュエルとロジャー(アンソニ・ドーソンとリック・ボイド)のプラット親子がティムを狙う理由が明らかになってからは、がぜんテンポがよくなり始める。ティムの正体は、名うてのガンマン、ビリー・ボーイ。彼は、元々プラット一味の一人だったが、一味の冷酷なやり方を嫌ったティムが一味を抜けるときにロジャーの兄弟を殺していたのだ。それまで銃が扱えないと偽っていた丸腰のティムが、ハリーの危機を救うため背後の敵の銃を蹴り飛ばして落ちた拳銃を拾っての早撃ちを見せるシーンは痛快。その後もジェンマのガンアクションが冴え渡り、度々ハリーを助けながらついに二人はハリーの叔父が残した農場に辿り着き、新生活を始めることになる。

しかし、そこにプラット一味が総がかりで襲撃をかけてくる。ダイナマイトで一味をなんとか壊滅させたと思ったのもつかの間、生き残ったプラット親子と最後の対決が待っているのだった。このラストの対決も農場に仕掛けたウサギ罠が伏線となって生きる見事な結末。ティムの後を追うハリーと共に二人は再びさ すらいの旅に出る。ジェンマの個性が生きた良質のマカロニウエスタンだ。また、悪役の手下役でマカロニウエスタンファンにはおなじみのリック・ボイドだが、本作で演じた息子のロジャー・プラットの役は、その冷酷な演技も冴え、彼にとっても本作は代表作といって良いだろう。