「ザ・サムライ/荒野の珍道中(74)」

IL BIANCO,IL GIALLO,IL NERO(伊)「白、黄色、黒」、WHITE,YELLOW,AND THE BLACK(英)「白、黄色、黒」、TV/DVD公開題名「ザ・サムライ/荒野の珍道中」、劇場未公開

カテゴリー(Giuliano Gemma)

監督セルジオ・コルブッチ、脚本アントニオ・トロイシオ、セロ・コスシア、ルイス・ブライン、セルジオ・コルブッチ、レネ・アセッド、マリオ・アメンドーラ、撮影ルイス・グアドラド、音楽グイド&マウリツィオ・デ・アンジェリス、出演ジュリアーノ・ジェンマ、トーマス・ミリアン、イーライ・ウォラック、ビクター・イスラエル、ジョバンニ・ペチ

製作段階から、コルブッチの新作情報として豪華3大スター競演の話題作として大いに期待されていた。しかし、ついに公開されずじまいで終わったのだが、その理由はテレビ公開を機会にこの作品に接することができて充分納得できた。親善大使として大統領に献上される予定のポニーをインディアンから奪われたサムライ・サクラ(トーマス・ミリアン)がたまたま輸送列車に忍び込んでいた泥棒スイス・チーズ(ジュリアーノ・ジェンマ)と協力してポニーを奪い返すための旅に出るというもの。

イーライ・ウォラックはジェンマを追いかける保安官ブラック・ジャックことギデオンに扮する。ポニーを奪った一味は馬代金(?)として100万ドルを要求してくるが、準備された100万ドルを収めた箱にある白、黒、黄色の鍵穴のうち、間違った鍵穴に鍵を差し込むと爆発するという仕掛けが施されていた。ポニーと馬代金を巡って3人組とインディアンに化けた強盗団、本物のインディアン、騎兵隊などの集団同士が交錯して、物語はめまぐるしくあちこちへ跳びながら展開するが、ラスト用意された100万ドルは偽物で、金を準備した銀行家がギデオンを亡き者にしたのちに彼が金を持ち逃げしたことにして金を横領しようとする策略であることが判明する。

ギデオンの命を狙って三人が滞在していたインディアン部落を兵隊崩れの ギャング団が襲撃してくる。彼らは銀行家から雇われた一味なのだ。ここで、ギデオンとインディアンの部落を救うためサクラが、ダイナマイトを抱えて単身敵の前に立つという侍魂を見せる。悪名高き本作品だけに解説の必要もないかもしれないが、何よりミリアンの役柄があまりにも凄い。ジェンマの「できるだけみっともない格好をしてみたら」というアドバイスをミリアンが素直に受け取ったようだが、いくらなんでも度が過ぎる。吊り上げた目にどじょうひげ、おかっぱ頭に盛り上げた髷というこのスタイルは日本に対する認識の錯誤を意味するだけでなく、ミリアンの個性やイメージもぶちこわしてしまうものだ。悪い意味でミリアンの印象が強すぎジ ェンマやウォラックのことは、忘れてしまいそうになるほどだった。

アクションシーンも用意されているが、撃ったり斬ったりというコルブッチ流の残酷アクションは完全に封印されていて、のんびりした殴り合い中心の展開。しかし、本作の面白さの本質は、日本語訳では通じにくいダジャレを中心とした言葉遊びにもあるようで、開幕ギデオン保安官の女房が亭主をなじって機関銃のようにまくしたてる言葉が全てマカロニウエスタンの題名になっているなどの仕掛けがしてある。また、途中で金を隠した棺桶をジェンマがジャンゴさながらに引きずるシーンがあったり、ジェンマ、ミリアン、ウォラックの悪夢のような女装ダンスシーンがあったりと、あまりにぶっ飛んだシュールなコメディであるため、「レッド・サン」のパロディとして本作を評価する声もちらほらと聞こえるようだ。