「死の宣告(67)」

SENTENZA DI MORTE(伊)「死の宣告」、DEATH SENTENCE(英)「死の宣告」劇場未公開

カテゴリー(Robin Clarke)

監督マリオ・ランフランチ、脚本マリオ・ランフランチ、撮影トニー・セッチ、音楽ジャンニ・フェリオ、出演ロビン・クラーク、リチャード・コンテ、トーマス・ミリアン、エンリコ・マリア・サレルノ、ロドルフォ・セリ

ミュージカル、ホラー、SF、コメディとジャンルの中にまたいくつものジャンルを内包するマカロニウエスタンだが、なんとオムニバス映画も存在していた。本作品は兄を殺した4人の仇を追って旅をする若きガンマン、キャッシュ(ロビン・クラーク)を描く。純粋な仇討ちテーマの作品なのだが、1人1人の仇を倒すエピソードが完全に独立しており30分ほどの1話完結の4部構成で成り立っているのだ。しかも、各エピソードで敵役を演じる俳優陣が、ハリウッドの名優リチャード・コンテ、ご存じエンリコ・マリア・サレルノ、007の悪党ラルゴ役のロドルフォ・セリ、さらにトーマス・ミリアンと超豪華。一方、主人公キャッシュを演じるロビン・クラークは本作が映画初主演という若い二枚目だが、豪華な悪役陣に引けを取らぬ凄みのある復讐者を演じきっている。また、それぞれのエピソードに井戸、カード、弾丸、黄金をテーマに、ひねった結末が用意されているのも面白い。

第1話の仇は牧場主に成り上がっていたディアス(リチャード・コンテ)。復讐の鬼と化したキャッシュは、平和な家庭を築いていたディアスの妻を人質に取りディアスを砂漠に誘い出す。炎天下の砂漠を逃走するディアスを水筒片手に追い詰めていくキャッシュ。砂漠で夜を明かし、渇きに狂わんばかりのディアスは、砂漠の果てに石造りの井戸を発見する。やっとたどり着いたディアスが、そこに見たものは、ただ石を積み上げただけの偽の井戸だった。仇をとことん絶望の淵に追い込んでから止めを刺す、キャッシュの冷酷非情さが最初に描かれた一遍。

第2話の仇は、凄腕の賭博師モンテロ(エンリコ・マリア・サレルノ)。貧乏人だろうが情け容赦なく掛け金を巻き上げるモンテロにポーカーで挑み1度は勝利をおさめるが、報復にキャッシュは心を寄せたメキシコ娘を殺されてしまう。勝者が相手の命を奪うという最後の死の勝負に挑むキャッシュとモンテロ。モンテロは4Kを示し、勝ち誇ってキャッシュを撃とうとするが、倒れたのはモンテロだった。自分の手を見せずその場を離れるキャッシュ。野次馬がキャッシュの手札を確かめるとそこには、4Aが揃っていた。

第3話は、無法の集団を率いる似非宣教師のボールドウイン(ロドルフォ・セリ)が仇。ここでキャッシュは始めて危機に陥り、足を撃たれた揚げ句荒野に置き去りにされる。翌日、生死を確かめに現れたボールドウイン神父に弾丸が全て抜かれているはずのキャッシュの拳銃が火を吐いた。キャッシュは、自らの体に入った弾丸を尖った石を使って取り出し、薬莢に再びつめて使用するというマカロニウエスタンならではのとんでもない方法で弾丸を造っていたのだ。このシーンを見せるため、前後のシーンがご都合主義で組み立てられているものの、このエピソードは凄み抜群だ。

第4話には、なんとトーマス・ミリアンが最後の宿敵として登場。黄金マニアであるオハラ(トーマス・ミリアン)をおびき寄せるため偽の銀行を開設したキャッシュは、金をつかって廃墟となった修道院にオハラをおびき寄せる。さらに金髪の娼婦を雇い入れ、オハラを骨抜きにして、墓場に埋めた金を掘り返しに来たオハラに止めを刺す。すぐに過呼吸に陥るエキセントリックなオハラのキャラクターがやや大げさで、強者としての凄みも薄いため、これまでの3話に比べてこの4話目が一番迫力には欠ける。しかし、真っ白な頭髪眉毛に全身を白いスーツで覆ったオハラの個性はやはり突出しており、強烈な印象を残す。ミリアン自身は「そんな作品もあったかな?」という程度の評価しか下していないようだが、全編、銃声に彩られ、凝ったストーリーが展開する本作品はマカロニウエスタンファン必見だ。