「賞金稼ぎの鎮魂歌(67)」

REQUIEM PER UN GRINGO(伊)「グリンゴへの鎮魂歌」、DUEL IN THE ECLIPSE(英)「皆既日食の中の決闘」劇場未公開

カテゴリー(Lang Jeffries)

監督ホセ・ルイス・マリノ(エウジェニオ・マルタン)、脚本マリア・デル・カルメン・マルティネスロマン、撮影マリオ・パチェコ、音楽フランチェスコ・ラバニーノ、出演ラング・ジェフリーズ、フェミー・ベニッシュ、フェルナンド・サンチョ、カルロ・ガッディ、ルーベン・ロホ、アルド・サムブレル、カルロ・シモーニ

屋敷を占拠したフェルナンド・サンチョ率いる山賊集団の手によってなぶり殺しにされた弟の仇を討つため軍隊上がりの男が山賊の一味を倒す物語。がっちりした巨体を豹の柄がついた恐ろしく長いポンチョで包み、ラバに乗ってゆっくり登場する主人公の個性はなかなかユニーク。弟の死を知っても表情ひとつ崩さず静かに復讐を誓う姿もクールな魅力が満点。史劇や犯罪アクションで活躍していたラング・ジェフリーズは、もっとマカロニウエスタンに出演していそうだが、彼が主演したマカロニは、本作1本のみだ。

南北戦争が終わり、故郷に帰って来たロス・ローガン(ラング・ジェフリーズ)は、弟のダン(カルロ・シモーニ)が、入れ違いで友人の牧場に出かけていることを知った。しかし、不幸にもダンが訪れた牧場は、銀行強盗を働いた山賊カランザ(フェルナンド・サンチョ)一味に占拠されていた。飛んで火にいる夏の虫状態となったダンは、弾倉を抜いた拳銃で決闘を強要された挙句、縛り首の晒し者にされてしまう。安否を気遣って様子を見に行ったローガンはそこで変わり果てた弟ダンの亡骸と対面するのだった。

カランザには凄腕の3人の手下トム(ルーベン・ロホ)、テッド(カルロ・ガッディ)、チャーリー(アルド・サムブレル)がいたが、彼らは、追っ手を遊撃して全滅させたあと、カランザと合流することになっていた。しかし、3人はなかなか戻ってこない。そこにふらりと現れた豹柄ポンチョをまとった無表情のローガン。彼は淡々と3人の手下たちの運命を語り始めた。一人一人が死んだ証拠がカランザの前に突きつけられていく。3人目にあたる黒づくめのガンマン、テッドに至っては、トレードマークである黒革の手袋ごと手首を切り取られる有様だった。怒り狂ったカランザがローガンに銃を向けたその瞬間、太陽が、にわかに掻き曇り辺りは一面の闇と化した。天文学マニアであったダンの資料をもとに、ローガンは皆既日食が起きるその日その時間を選んでカランザへの復讐を果たしに来たのだ。日蝕の闇の中で慌てふためく一味を次々に倒していくローガン。ついに復讐の弾丸がカランザの胸を貫くのだった。

皆既日食という独特の設定のみが注目され、あまり話題になっていないが、弱者をいたぶる残酷さ、一人一人を倒した証拠を示しながら、復讐の顛末を語っていく流れなど、本作は紛れもない小林正樹監督、仲代達也主演の傑作時代劇「切腹(62)」のリメイクである。おそらく映画化の権利など買い取っていないまま制作されたであろう本作が「荒野の用心棒(64)」のような盗作騒ぎにまで発展しなかったのは、このような作品が制作されていたことを日本の映画関係者が知らなかった、ということに尽きるだろう。そのため、大したヒットもしなかった本作は、日本公開されることもなく、ひっそりとその存在を忘れ去られようとしている。しかし、多くのガンファイトシーン、個性的な主人公、そして、ラバニーノの音楽とタイトルのシーンも見ごたえ十分。いわくつきの物語展開とも相まって、日本のマカロニウエスタンファン必見の作品だ。