「冷血の殺し屋(66)」

UCCIDI A FREDDO(伊)「冷血の殺し屋」、COLD KILLER(英)「冷血の殺し屋」劇場未公開

カテゴリー(Dan Harrison)

監督ウイリアム・ファースト(グイド・セラーノ)、脚本チャーリー・リード、撮影アンジェロ・ハイストリッチ、音楽ワイルダー・ブラザース、主演ダン・ハリスン、リタ・ファレル、フィリップ・マーチ、リリアン・フェイバー、マリオ・フェリシアーニ

海外のヨーロッパ製西部劇リストにもなかなか見いだすことのできない、珍しい作品の一つ。判事サラサールの執事であるホセ・デスメイン(フィリップ・マーチ)は、サラサールに持病の薬を与えず死に至らしめる。ホセの父はかってサラサールから有罪判決を受けて処刑されていたのだ。しかし、仇討のみが目的ではなく、サラサールの金鉱の権利を狙うホセは、サラサールの娘ヘレン(リタ・ファレル)に接近する。さらに囚人たちを逃がして自らの配下とし、酒場の女主人ペイコックから酒場を買収すると、サラサール殺しに気づいたペイコックを殺害するなど、悪事の限りを尽くすホセ。しかし、そんなホセに雇われた流れ者の若者ビル・ウォルコム(ダン・ハリソン)は、ホセがインディアンへの武器密売をしていることをつかんだことをきっかけにして、数々の悪事の張本人であることをつきとめる。ビルは政府から派遣された連邦保安官だったのだ。

自らの雇い主を殺して町の実力者にのし上がった元執事の悪巧みを流れ者に身を変えた保安官が阻止するという米国西部劇風のつくりだが、主人公であるビルの活躍よりも、ホセが町の実力者になる過程や、その取り巻きの手下達を従えるまでが詳しく描かれている点が特徴。「冷血の殺し屋」という原題名も正義派のビルではなく、悪役のホセのことを指しているようだ。悪役の視点に立った画面づくりという点で異色作ともいえるが、やはり根本的な爽快さや面白みに欠ける。

ラスト、手下たちも全て落盤を偽装して皆殺しにし、全ての金を手にしたホセだったが、駆け付けたビルと相打ち。しかし、正義の保安官ビルは胸につけたバッジで一命をとりとめる。ストーリーにもアクションにも見るべきものはないが、全編に流れるワイルダー・ブラザースのカントリー調の曲が、不思議と耳に残る。