「幸運のジョニー(75)」

SARPENTE A SONAGLI(伊)「ガラガラヘビ」、LUCKY JOHNNY: BORN IN AMERICA(英)「幸運のジョニー:アメリカ生まれ」劇場未公開

カテゴリー(Glen Lee)

監督ホセ・アントニオ・バラノス、脚本ホセ・アントニオ・バラノス、ペドロ・ミレット、撮影アレックス・フィリップス、音楽ルチアーノ・ミケリーニ、出演グレン・リー、バージル・フレイ、ジェームス・ウエスターフィールド、ベネチア・バイアネロ、エバリスト・マルケス、バージル・フライ

この作品は傑作だ。描かれるテーマは、愛することもなく愛されることもなかった者たちの愛情への飢え。不倫による愛憎劇により両親が死に、赤ん坊がたった一人で砂漠に取り残されるというハードな見せ場が開幕から展開する。ガラガラヘビから襲われようとした寸前に赤ん坊は、流れ者の墓掘り人ジョン・アップルビー(ジェームス・ウエスターフィールド)から救われる。奇跡的に命を拾った幸運の証としてアッ プルビーは、ガラガラヘビから音を鳴らす尻尾を切り取り幸運のお守りとして赤ん坊の手に握らせるのだ。

両親の愛情を知らず、生きるか死ぬかの環境で育てられた赤ん坊は幸運なジョニー(グレン・リー)と名付けられ、寡黙で冷酷な若者に成長する。アップルビーは、町でジョニーにトラブルを起こさせ、正当防衛で射殺した連中の埋葬代をせしめるという極めて効率の悪い方法で小銭稼ぎをしていた。そんなジョニーの前に一人の女性ケリー(ベネチア・バイアネロ)が現れる。遠くから彼女の様子を覗き見るだけのジョニーだが、ケリーは、盗賊ジャック・ボーギン(バージル・フライ)の妻であった。護送金の強盗をはたらいたボーギンの片棒を担いだ挙句、傷ついて夫から置き去りにされたケリーは、ボーギンの元を離れることを決意する。一方ジョニーも、ケリーのことが忘れられず、ついに育ての親アップルビーの元を離れて旅立つのだった。

行方知らずのケリーを捜すジョニーはたまたま危機を救った黒人兵士マルケス(エバリスト・マルケス)から、ケリーの元に案内してもらう。しかし、そこはボーギンが裏切ったケリーを射殺した後だった。ジョニーはボーギンに決闘を挑み、結果は相討ち、彼は自らの存在すら知らない女性のために命を懸けて戦ったのだった。血糊が吹き出す撃ち合いに、ダイナマイトで吹き飛ばされた遺体の有様を映し出すというリアルで凄惨な画面づくりは、「情無用のジャンゴ(66)」や「CONDENADOS A VIVIR(73)」など、残酷系マカロニの流れを汲むものだ。それに加え、むなしさが漂う壮絶なラストと内容はかなり濃い。そんな中で、ジョニーから旅立たれたアップルビー老人が荒野で一人静かに涙を流す場面が印象的だ。ジョニーも、盗賊の妻ケリーも、そしてジョニーを利用しているだけに見えたアップルビー老人も皆、愛に飢えていたのだ。ちなみに、本作はメキシコとの合作で、ロケはメキシコの荒野で行われている。メキシコとの合作マカロニは、数本存在するが、本作に象徴されるように、いずれも残酷でハードな結末を迎える作品が多い。