「ハチェット無頼(77)」

MANNAJA(伊)「斧」、MAN CALLED BLADE(英)「刃と呼ばれた男」劇場未公開、DVD公開題名「ハチェット無頼」

カテゴリー(Maurizio Merli)

監督セルジオ・マルティーノ、脚本セルジオ・マルティーノ、サウロ・スカボリーニ、撮影フェデリコ・ザンニ、音楽グイド&マウリツィオ・デ・アンジェリス、主演マウリツィオ・メルリ、ジョン・スタイナー、ドナルド・オブライエン、フィリップ・ルロワ、サルバトーレ・パンティーノ、ソーニャ・ジャニーン、マルティーヌ・ブロシャール

数多いマカロニウエスタンの中で「続・荒野の用心棒(66)」「殺しが静かにやって来る(68)」等のコルブッチワールドを継承するヘビイな作品が未公開のまま放置されていた。それが、本作である。「ケオマ・ザ・リベンジャー(76)」に触発されたと思われる本作品は、全体の雰囲気も大変似通っていて、暗くどこまでも陰鬱。ケオマで描かれた、伝染病が蔓延した町は、鉱山の有毒ガスに犯された町に置き換えられ、「フェラーリの鷹」などイタリア製の原題アクションで活躍したマウリツィオ・メルリ演じる主人公も泥とスモッグに汚染された町の中で翻弄される。

しかし、繰り広げられるアクションはハードでスピーディ。ラストには登場人物の大半が殺され、画面から姿を消す展開は、コルブッチ系マカロニウエスタンの真骨頂だ。この作品は未公開作品中のベスト5には欠かせない。紙面で解説してもこの映画の持つ重苦しい雰囲気を伝えることはなかなか困難だ。フェデリコ・ザンニのカメラワークが生み出す霧の中のシーンとグイド&マウリツィオ・デ・アンジェリス兄弟作曲のぶっきらぼうに吐き出す呪詛のような主題歌が恐ろしいほどに調和して、ねっとりとまとわりつくような画面を作り上げられている。

賞金稼ぎを生業とする山男のブレード(マウリツィオ・メルリ)は、拳銃と投げ斧の名手。彼は捕らえたお尋ね者バート(ドナルド・オブライエン)の賞金を賭けたゲームに勝利して残忍な鉱山の監督ボレル(ジョン・スタイナー)から金を巻き上げる。この一件を契機としてボレルとブレードの対立が深まる。鉱山の乗っ取りを画策するボレルは、鉱山の持ち主マクゴワン(フィリップ・ルロワ)の娘デボラ(ソーニャ・ジャニーン)を誘拐し、鉱山の権利を譲るように要求してくる。マクゴワンの依頼で娘の救出に向かったブレードだが、この誘拐劇はボレルとデボラが仕組んだ狂言であった。デボラの裏切りにより、ブレードが密かに心を通い合わせていた恋人のアンジェラ(マルティーヌ・ブロシャール)は、無残に殺され、ブ レード自身も生き埋めにされた上、太陽の光で両眼をつぶされる。しかし、ブレードの心が萎えることはなかった。洞穴の闇の中に息を潜め、拾い集めた石をひたすら研ぎ続けるブレード。宿敵に叩き込むための石斧がひとつまたひとつと作られていく。復讐の執念に燃えた反撃が始まった。

猛犬2頭を太い鎖でつなぎとめ、霧の中に佇む宿敵ボレルのシルエットと馬を駆りながら対決の場に赴くブレードのシルエットが重なるラストの対決は、マカロニ史上に残る屈指の決闘シーンだ。この作品はマカロニファン必見。なお、DVD化に際して命名された「ハチェット無頼」のハチェットとは、主人公が使う武器である手斧のことを指している。