「ダイナマイトジョー(66)」

JOE L’IMPLACABILE(伊)「静められないジョー」、DYNAMITE JOE(英)「ダイナマイトジョー」、劇場未公開

カテゴリー(Rick Van Nutter)

監督アンソニー・ドーソン、脚本マリア・デル・カルメン・マルチネス、撮影マニュエル・メリノ、音楽カルロ・サビーナ、出演リック・バン・ナッター、ハリーナ・ザラウスカ、メルセデス・カラクエル、レナート・バルディーニ、メルセデス・カストロ、リカルド・パラシオス、サンチィアゴ・リベロ

アンソニー・ドーソン監督の作品はどうも今一つというものが多い。この作品も失われた黄金を調査するために派遣されたダイナマイト・ジョーの異名をもつ秘密諜報部員の活躍を描く西部の007ものだが、銃撃戦の場面はあっても主人公がほとんど拳銃を撃たないという点が決定的にまずい。

米政府の財政を脅かすほどに頻発する金塊強奪事件の解決のため、政府の諜報員ダイナマイト・ジョーことジョー・フォード(リック・バン・ナッター)は大量の金塊輸送の任を委ねられる。ジョーは、山賊エル・ソル(リカルド・パラシオス)一味の襲撃を巧みにかわしながら、山賊を陰で 操っていた上院議員(サンチィアゴ・リベロ)の悪事を暴く。

最後には、馬車全体が黄金でできていたというマカロニお馴染みのオチがついているという趣向。主演のリック・バン・ナッターは、「007サンダーボール作戦」でCIA局員を演じた精悍なマスクをもつキャラクターだが、その個性が生かされていない。導入部こそクリント・イーストウッドばりのポンチョ姿で登場して期待を抱かせるのだが、主人公がダイナマイト扱いの名人という設定のため、ポンチョを脱ぎ捨ててからは、金持ちのスーツに身を包んだキザな主人公がやたら女性とイチャつく軟派な仕上がりになってしまった。

何かというとすぐにダイナマイトを爆発させてあっという間にピンチを脱出してしまうので、主人公は余裕たっぷり、対決の緊張感もなにも生まれない。やはりマカロニのヒーローはガンで勝負してほしいものだ。中盤に準備された見せ場(?)は、廃鉱に閉じ込められた主人公が水脈を爆破して洪水を起こし悪党を一層するシーン。ところが、これがチャチなミニチュアセットと合成を使ったお笑いにしかならない画面になってしまっている。撃たないヒーローと同じく、スペクタクルもマカロニには似合わない。

なお、主人公の相手役を演じる美女ベティを演じるハリーナ・ザラウスカは、「ガンクレイジー(66)」で印象的なヒロインを演じたエラ・カリンの変名である。