「ドルの両面(67)」

LE DUE FACCE DEL DOLLARO(伊)「ドルの両面」、TWO SIDES OF THE DOLLAR(英)「ドルの両面」劇場未公開

カテゴリー(Monty Greenwood)

監督ロベルト・モンテロ、脚本ダリオ・シルベストロ、フランコ・ベルーシ、撮影ステルビオ・マッシ、音楽マリオ・カプアーノ、出演モンティ・グリーウッド、ジェラード・ハーター、ガブリエラ・ジョルジュリ、マリオ・マランザーナ、アンドレア・ボスチ、ジャックス・ハーリン

本邦で公開された質の高い作品はやはり主演、監督、音楽などになじみ深い人が誰か関係しているものだ。しかし、そうしたおなじみの名前を見いだすことのできない未公開作品にも本作品のようにマカロニウエスタンの雰囲気をずばり伝えてくれる快作がある。こうした作品を日本に紹介できれば、マカロニウエスタンというジャンルにはまだまだ開拓する余地が多く残っていることが理解してもらえるだろう。

ストーリーは、「黄金の七人」に代表されるイタリアお得意の犯罪アクションをマカロニウエスタンに取り入れたもので、前半は主人公のグループがいかにして軍用金を強奪するかという興味で見せる。ブラック・グレイブ大佐(ジェラード・ハー ター)は、ガンマンのミゲル(モンティ・グリーウッド)、しがない金鉱堀だが緻密な計算と精密機械の扱いに長けたマティマチカ(ジャックス・ハーリン)そして色仕掛けで男をたらしこむ娼婦のジャネット(ガブリエラ・ジョルジュリ)を仲間に引き入れ、ヘンダーソン砦に保管された金の強奪を企てる。3人の男と1人の女で構成されたこの一味はそれぞれの役割を忠実に果たしながら砦にもぐりこむ。

将校に化けて乗り込んだ大佐が、床をくりぬいて地下の金を盗みだし、それを鉄壁のチームワークによって砦の外に運び出すまでの流れは観る者を画面に引き付ける。やっと強奪に成功したと思いきや、彼らを軍の追っ手、山賊一味が狙ってくる。さらに欲にかられた三人の男達は互いに相手を出し抜こうとだまし合い、戦い合うことになる。見所は「黄金の棺(66)」を思わせる悲愴感漂う壮絶なラスト。金に執着するあまり人を信じることのできなくなった男の末路がトランペットの乾いた旋律にのせて寒々と描かれる。これこそマカロニの魅力だ。

この作品でも最高に雰囲気を盛り上げるのが音楽。作曲者のマリオ・カプアーノのマカロニテーマはこの作品1本きりだそうだが、金塊強奪を象徴する軽快なテーマ、決闘シーンやラストに流れる重々しいトランペットのテーマなど典型的マカロニウエスタン音楽が味わえる。主人公モンティ・グリーウッドが演じるガンマンとジェラード・ハーター演ずる大佐も渋い魅力を存分に発揮している。