「荒野の復讐鬼(66)」

RAMON IL MESSICANO(伊)「メキシコ人ラモン」、RAMON THE MEXICAN(英)「メキシコ人ラモン」劇場公開作品

カテゴリー(Jean Louis)

監督マウリツィオ・プラド、脚本マウリツィオ・プラド、撮影オベルダン・トロアーニ、音楽フェリチ・デ・ステファーノ、出演ロバート・ハンダー、ジャン・ルイス、ウィル・リンダマー、ホセ・トレス、トマス・クレイ、ウーゴ・サッゾ

66年度作品がぐんと遅れて日本では71年になっての公開。おまけに日本語吹き替え版で劇場公開されたが、日本公開が見送られた傑作が多い中で、なぜこの作品が公開されたか不思議に思われる程の出来栄えだった。

牧場主バクスター家の次男坊スリム(ジャン・ルイス)は、恋人のエスメラルダ(ウィル・リンダマー)に暴行を働こうとした男を射殺するが、彼は町を牛耳るメキシコ人のアウトロー、ラモン(ロバート・ハンダー)の手下だった。ラモン一味は報復のためスリムの父親(ウーゴ・サッゾ)を殺してしまう。怒りに燃えたスリムは、単身ラモンに決闘を挑むものの、この時点では、スリムの腕はラモンに及ばず、撃たれたスリムは重傷を負う。さらに、傷が癒えるまでスリムが身を隠している間に、バクスター農場とエスメラルダを我が物にしようとするラモンは、農場を襲撃、スリムを除いたバクスター一家を皆殺しにしてしまうのだった。文字通り復讐鬼と化したスリムは、南軍の脱走兵ジャック・カーソン(アルド・ベルチ)の一味に加わり、カーソンの協力を得て拳銃の特訓を積み、エスメラルダとラモンの結婚式に殴り込む。

悪党でも、きちんと結婚することを重視し、家族愛が復讐の基本となっている点は、カトリックの国イタリアらしいつくりといえるだろう。手首に振り下ろされる斧を避けて拳銃を抜く特訓シーンや、火のついた火薬と馬車の追いかけっこなど、そこそこの見せ場は用意されている。また、トランペットを基調にしたステファーノの音楽も典型的なマカロニテーマだ。

しかし、本作は、決定的に主役の魅力不足。タイトルロールのメキシコ人ラモンはロバート・ハンダーが演じているが、彼は悪役。正義派の主人公スリムを演ずるのが他のマカロニでもっぱら悪役や脇役で登場していたジャン・ルイス。どうやら、ジャン・ルイスは本作が映画初主演だったらしいが、そのルックスも動きも颯爽たるガンマンには程遠く、主役の器ではないというのが正直な印象。主役がB級悪役のハンダーの前に圧倒されてしまっている残念な作品だ。