「愛は憎しみを超えて(87)」

SCALPS(伊)「頭の皮」、SCALPS(英)「頭の皮」劇場未公開、DVD公開題名「愛は憎しみを超えて」

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監督ワーナー・カノックス(ブルーノ・マッテイ)、脚本ブルーノ・マッテイ、リチャード・ハリスン、撮影ルイジ・チッカレーゼ、フリオ・ブルゴス、音楽ルイジ・セカレッリ、出演マピ・ギャラン、バジリ・カラス、アルバート・ファーレイ、チャーリー・ブラボ、ホセ・カナレファス

リチャード・ハリスンが原案を担当し、インディアンの悲劇を描いた「ライジングスターの伝説(84)」の続編にあたる。前作と同じくリチャード・ハリスンが原案・脚本を書いているが、前作の悲愴感に加えて今回は残酷さが更にエスカレートしているのが特徴。60年代にマカロニは残酷だという風評が立ったが、87年の本作品が公開されたならばどのような評価が下されたであろうか。頭の皮剥のシーンはいうに及ばず、撃ち合いや拷問のシーンの凄惨さは目を覆うばかりだ。映像の過激さはマカロニの中でも1、2を争うものだろう。

そうした残虐な場面を売り物にしていることは間違いないが、意外なことにこの作品の主人公は女性。精神の狂った南軍の大佐コナー(アルバート・ファーレイ)の一味に部落を全滅させられ、捕らわれの身となったインディアンの娘ヤリン(マピ・ギャラン)が決死の脱出。地を這い、草を食みながら生き延び、助けてくれた白人男性マット(バジリ・カラス)の協力を得て復讐を開始する。いわば女ナバホ・ジョーの物語。

マットは、コナー大佐の娘婿で、妻はインディアンに殺害されたものと信じていたのだが、妻を殺害した張本人は、実の父親であるコナー大佐であったことが最後に判明する。正に腐れ外道というべきコナー大佐の頭の皮を剥いで物語は終了。「愛は憎しみを超えて」という甘ったるい日本題名がなんともミスマッチだ。主人公ヤリンの身体を張った戦いぶりと音楽だけでマカロニらしい迫力と執念は十分に描けているので、不快感を覚える残虐さは、逆に本作品の価値を下げてしまったと思われる。

凄惨な画面とは裏腹にインディアンが朝日の中で敬虔な祈りを捧げるシーンや自然の描写は実に美しく撮影されている。ただし音楽はブルーノ・ニコライの名曲集の使い回し、これなら当然画面も盛り上がるわけで、ルイジ・セカレッリという音楽担当者は何の仕事をしたのだろうか。