「帰って来たガンマン(66)」

UN FIUME DI DOLLARI(伊)「ドルの河」、HILLS RUN RED(英)「血に染まる丘」劇場公開作品

カテゴリー(Thomas Hunter)

監督カルロ・リッツアーニ、脚本マリオ・ピエロッティ、撮影トニー・セッキ、音楽レオ・ニコルズ(エンニオ・モリコーネ)、出演トム・ハンター、ヘンリー・シルバ、ダン・デュリエ、ナンド・カザロ、ニコレッタ・マキアベリ、ジョージ・コープストーン、ジアンナ・セラ、パオロ・マガロッティ

マカロニウエスタンブームが本格的に到来しようとする中、大プロデューサー、ディーノ・デ・ラウレンティスがプロデュースに乗り出して話題を呼んだ作品だ。話題のわりには、大作という雰囲気ではなく、復讐をテーマにした小品に仕上がった。ただ、復讐一筋に進む執念を描くというよりも、親子の情愛をからませながらほのぼのとした作りになっているためマカロニウエスタンというより、米国製のウエスタンに似た雰囲気になっている。

軍の公金を奪った脱走兵2人が追っ手に追い詰められて、カードでくじを引いて勝った方が金を持って逃げることになった。負けたジェリー・ブルースター(トム・ハンター)は、自ら囮になって捕らえられ、5年の刑に服すことになる。出所して故郷の町に戻ると逃げた相手であるケン・シー ガル(ナンド・カザロ)は、分け前を預かって家族の面倒を見る約束はどこへやら、妻は貧困の中で死に、幼いわが子は行方不明になっていた。復讐の鬼と化すジェリー。しかし、彼の出獄を知ったシーガルは、殺し屋を差し向けて来る。

窮地に陥ったジェリーを助けるのは正体不明の流れ者ウイニー・ゲッツ(ダン・デュリエ)だ。彼の助けを借りたジェリーは、一味の牧童頭メンデス(ヘンリー・シルバ)に気に入られ、シーガルの一味に潜り込むことに成功する。ジェリーは、シーガルの一味と対立する酒場の経営者ホーナー(ジョージ・コープストーン)と密かに連絡を取りながら、復讐を果たそうとするが、メンデスが放った女スパイ、ハッティ(ジャンナ・セーラ)の暗躍によって計画は失敗、逆にメンデスたちの強襲を受けて、ジェリーは、ウイニー・ゲッツと二人きりで一味を迎え撃つことになる。

2対多の圧倒的に不利な戦いで威力 を発揮するのが、ダイナマイト。三流作品では、主人公がいつの間にかマシンガンやダイナマイトといった兵器を手に入れて惜しげもなく使用するのだが、本作ではホーナーの酒場の地下室が武器庫になっていたという設定が語られており、脚本がしっかりと練られていることが分かる。二人でメンデス一味を壊滅させたジェリーは、ホーナーの屋敷に乗り込みついに宿命の敵シーガルを倒す。

たまたま出会った鍛冶屋に養われている少年が息子ティム(ロリス・ルディ)だと判明する展開や、ジェリーを支えてきたウイニーが実は政府から派遣された捜査官であり、ジェリーとティムのために一肌脱いでやるハッピーな結末など、非情・冷酷とは正反対の温かい作り方だ。物語の後半でジェリーの正体がメンデスにばれ、ティムを人質に取られて絶体絶命に陥るのだが、ここでも、リンチを食ったりすることなく、ウイニーの活躍でティムともども間一髪の脱出に成功する。マカロニウエスタンの壮絶さとは逆の方向に向かったが、こんな温かい雰囲気のマカロニウエスタンも中にはあって良いだろう。

しかし、キャストとしてヘンリー・シルバ、ダン・デュリエ、ニコレッタ・マキアベリなど個性的な面々が、顔を揃えながら、その個性が十分生かされていたとはいいがたい。中でも、ヘンリー・シルバが、結局は単なる小悪党の域を出ず、ハンターの2丁拳銃であっさり撃ち殺されてしまうのは残念だった。