「ザ・ビースト(70)」

LA BELVA(伊)「野獣」、BEAST(英)「野獣」劇場未公開、ビデオ公開題名「ザ・ビースト」

カテゴリー(Steven Tedd)

監督マリオ・コスタ、脚本フランコ・カラブレッセ、マリオ・コスタ、撮影ルチアーノ・トラサッティ、音楽ステルビオ・チプリアーニ、出演クラウス・キンスキー、スチィーブン・テッド、ガブリエラ・ジョルジュリ、リー・バートン

色情狂のジョニー(クラウス・キンスキー)は相続人に化けて地主の金を強奪しようと、リカルド(スチィーブン・テッド)とファニタ(ガブリエラ・ジョルジュリ)のメキシコ人カップルに持ちかける。しかし、ジョニーが誘拐した娘に暴行しようとして殺害したために三人は凶悪犯として追われる羽目になってしまう。その上、彼らが強奪した金の横取りを狙って山賊達が動き出し三つ巴の争奪戦となる。

ファニタはジョニーから殺されてしまい、リカルドがジョニーを倒して仇を討つものの、結局悪に加担した報いでジョニーの家族は山賊一味から殺されてしまい、金も全て灰になってしまうというラスト。善玉主人公は、スチィーブン・テッドだが、やはり目立ちまくっているのはクラウス・キンスキー。

キンスキーは「殺しが静かにやって来る(68)」のような傑作に主演したかと思えば、マイルズ・ディーン監督のつぎはぎ映画の端役を演じるなど、作品を選ぶという姿勢を全く感じさせない。本作品は、そんなキンスキーのトホホな作品の一つといえるだろう。彼が演じるのは、女とみれば目の色を変えて襲いかかる色情狂。開幕から、洗濯にきていた女性を見つけるや突然襲いかかるむちゃくちゃぶりだ。それでも題名のように野獣のような凶暴性をみせるならまだしも、現れた亭主から脅されてすごすごと引き下がる情けなさ。この奇妙な個性が物語の展開に全く生かされていないのだから何のためにこんな情けない役を演じさせられたのか、キンスキーこそお気の毒だ。音楽もチプリアーニやカルロ・サビーナ、ロビー・ポイテビンの音楽の無節操な使いまわしに終わっている。