「アステカの秘宝(65)」

SANSONE E IL TESORO DEGLI INCAS(伊)「サムソンとインカ帝国の宝」、LOST TREASURE OF THE INCAS(英)「インカ帝国の失われた宝」劇場未公開、TV公開題名「アステカの秘宝」

カテゴリー(Alan Steel)

監督ピエロ・ピエロッティ、脚本ピエロ・ピエロッティ、アルパッド・デ・リソ、撮影アウグスト・ティエッツィ、音楽フランチェスコ・ラバニーノ、出演アラン・スチール、トニー・ザイラー、マリオ・ペトリ、ブリジット・ヘイルバーグ、アンナ・マリア・ポラニ、ピーター・クロス、リック・ボイド

イタリア史劇の発展で、インカ帝国の遺跡を舞台とした宝探しものと西部劇を融合させた珍作。テレビ公開されていたのだが、この題名のせいでマカロニウエスタンだとは、全く気付いていなかった。

無実の殺人罪で逮捕されたアラン・フォックス(トニー・ザイラー)は馬車で移送される途中を町のボスであるジェリー・デイモン(マリオ・ペトリ)一味に襲撃される。真犯人であるデイモンが、証人であるフォックスの口封じを狙ったのである。しかし、たまたま馬車に乗り合わせた若いインディアンの女の協力で危機を切り抜け、山中に身を潜める。一方、フォックスの親友であるサムソンことウイリアム・スミス(アラン・スチール)は、アランの無実を信じて彼を助けようと奔走する。再会を果たした、フォックスとスミスは、フォックスを助けたインディアンの娘がインカ帝国の末裔であることを知る。悪党デイモン一味も噂に聞くインカ帝国の宝を我が物にしようと狙っていたのだ。

と、ここまでが西部劇。

後半はデイモン一味の追跡を逃れるため、荒野の山中に隠された秘密の扉を開けるとそこには、インカ帝国の地下都市が広がっていた。ここからは、唐突に宝探しを目的とした秘境冒険物語へと変化していくのがおかしい。インカ帝国の末裔に捕らわれた一行が遺跡を抜け出す後半は、開幕がウエスタンであったことをすっかり忘れてしまうほど。史劇のスターだったアラン・スチール演じるサムソンは、その名の通りマッチョボディを披露して、襲い掛かるインカの末裔たちを抱えては投げるヘラクレスもどきの大活躍。ラストは定石通り、なぜか遺跡が崩壊するスペクタクルシーンとなる。イタリア大衆娯楽映画の史劇から西部劇へと移行する様子をあからさまに表現した、ある意味象徴的な作品だ。ちなみに、アラン・フォックスを演じるトニー・ザイラーは、オーストラリアのスキーチャンピオンだった人。