「ジョニー・ハムレット(68)」

2020-01-11

QUELLA SPORCA STORIA DEL WEST(伊)「西部の汚れた物語」、JOHNNY HAMLET(英)「ジョニー・ハムレット」劇場未公開、DVD公開題名「ジョニー・ハムレット」

カテゴリー(Andrea Giordana)

監督エンツィオ・G・カスティラーリ、脚本エンツィオ・G・カスティラーリ、ティト・カルピ、フランチェスコ・スカルダマーリャ、撮影アンジェロ・フィリッピーニ、音楽フランチェスコ・デ・マージ、出演アンドレア・ジョルダーナ、ギルバート・ローランド、ホルスト・フランク、エンニオ・ギロラーミ、ペドロ・サンチェス、ガブリエラ・グリマルディ

1968年にコルブッチのチームによって製作され「ジョニー・ハムレット」の英題で知られる本作品は、鑑賞することが難しいマカロニウエスタンのひとつであったが、現在ではDVDもリリースされ日本語字幕入りで観賞できるようになったのは嬉しい限りだ。ハムレットを踏襲した物語の展開、主人公の個性、音楽の質等どれをとっても1級で、日本で劇場公開されていないことが惜しまれる作品だ。

戦争が終わり、故郷の町へ帰って来たジョニー(アンドレア・ジョルダーナ)は、父が何者かの手によって殺されていることを知った。サンタナという野盗の頭目がその犯人だと噂されるが真実はわからない。母は伯父クラウディオ(ホルスト・フランク)の手によって庇護を受けており、仇討ちには消極的だ。ジョニーは彼を影のように支える旧友のホラス(ギルバート・ローランド)の助けを得て、自ら父を殺した真犯人を捜し出すために立ち上がる。

このストーリーは題名通り、「ハムレット」がモチーフになっており、それを象徴する意味で冒頭と中程にハムレットを演じる旅芸人の一座が登場する。しかし、そうしたストーリー展開の面白さ以上にこの作品の価値を高めているのは、アンドレア・ジョルダーナの個性と彼のテーマとして鳴り響く音楽の格好良さにあるだろう。マリアッチ風の黒い上下に白いスカーフをさりげなく巻いた主人公ジョニーのスタイリッシュなファッションはマカロニウエスタンならでは。そのスタイルが、甘いマスクの持ち主でありながら、目は鋭い輝きを放つジョルダーナの風貌によく似合う。彼がさっそうと馬を走らせるシーンに流れるのが名手フランチェスコ・デ・マージ作曲のテーマ。特にタイトルでは、海岸を走るジョニーのシルエットにマウリツィオ・グラーフの歌が重なって、マカロニウエスタン独特の世界にいざなう。

ガンプレイの面白さもまた魅力のひとつ、踊り場の腐った床をぶちぬいて飛び降り、階段の陰から連射する場面は圧巻。リンチで両手がずたずたになったジョニーが、父の形見の拳銃をひもで右手にくくりつけて決闘に臨んだり、頭からかぶった砂金が銃につまって撃てなくなったりというアイデアも斬新だった。

あえてマイナス面を探せばせっかく緊張感をはらんだラストの対決の決着が意外とあっけなくついてしまったこと。常にクールで個性的な悪役を演じるホルスト・フランクが相手だっただけに、より面白い決闘シーンが演出できたのではないだろうか。しかし、そうしたマイナスポイントもジョルダーナの格好良さが帳消しにしてしまうほど、彼の個性は際立ったものだった。