「さすらいのデスペラード(67)」

EL DESPERADO(伊)「ならず者」、BIG RIPOFF(英)「どでかい騙し取り」劇場未公開、DVD公開題名「さすらいのデスペラード」

カテゴリー(Andrea Giordana)

監督フランコ・ロゼッティ、脚本フランコ・ロゼッティ、ウーゴ・グエラ、ビンセンソ・セラミ、撮影アンジェロ・フィイリッピーニ、音楽ジャンニ・フェリオ、出演アンドレア・ジョルダーナ、ローズマリー・デクスター、フランコ・ジョルネッリ、アルド・ベルチ、ピエロ・ルッリ、ディーン・ストラトフォード、ダナ・ジーア、ジョバンニ・ベルトリッチ

日本にはほとんど紹介されていない俳優だが、甘いマスクの中に鋭い眼光が光るアンドレア・ジョルダーナは非常に質の高いマカロニウエスタン3本に主演している。これはその中の1本。「続・荒野の用心棒(66)」で脚本を担当したフランコ・ロゼッティが初監督し、ジャンゴをほうふつとさせる泥まみれの凄惨なアクションシーンを生み出している。

極悪非道なならず者デスペラードとして名をはせたスティーブ・ベラスコ(アンドレア・ジョルダーナ)は、縛り首から逃れ逃亡する途中で瀕死の南軍兵士ビルに出会う。彼の父は盲目で牧場を買うための大金をもっているらしい。ビルの死を看取るとスティーブは、彼とよく似たビルに成りすますことを思いつき、そのままビルの服を着てビルの父親サム(ピエロ・ルッリ)の元に向かう。サムは孤児の娘ケティ(ローズマリー・デクスター)と二人で暮らしていたが、スティーブをビルと信じて迎え入れる。盲目のサムから金を巻き上げることを画策していたスティーブだったが、廃墟と化したこの町に悪党アッシャー(フランコ・ジョルネッリ)一味が現れる。彼らは、この町で極秘裏に引き渡される南軍の公金を狙っていたのだ。アッシャーの情婦ルーシー(ダナ・ジーア)は、かつてスティーブの恋人であったことから、彼女の口利きでスティーブはアッシャー一味の仲間に入り公金強奪の片棒を担ぐことになる。

しかし、スティーブは彼らを凌ぐ悪党だった。なんと彼は、一味の裏をかいて一人金を持ち逃げしてしまうのだ。ことはうまく運んだかに見えたのだが、悪党一味の執拗な追跡を受けてついに捕らえられ、泥まみれの凄まじいリンチ。このあたりは、「続・荒野の用心棒」の流れに大変良く似ている。殺されたかに見えたがルーシーの機転で九死に一生を得た彼は、そのために巻き添えを食って死んだサムと自らの復讐のため、南軍の軍服に身を包み、報復のために旅立つのだった。

泥まみれのリンチや盲目の老人サムが殺されるシーンなど凄惨で重苦しい雰囲気が全体を包んでいるが、ジャンニ・フェリオ作曲の主題歌にのって活躍するジョルダーナの格好良さはそんな中でも光る。陽気な酒場の殴り合いに紛れて仇の一人を殴り殺したり、互いに銃を突きつけ合ったまま膠着状態に陥ってしまったりと、他の作品にはちょっと見られないような独特のシーンが随所に盛り込まれているのも本作品の特徴だ。

ラスト、スティーブは目の見えないサムをいたぶって殺したアッシャーに対して彼の目を泥で潰し、サムが味わった屈辱と苦痛を味わわせる冷酷さを見せる。通常は残酷な悪役を多く演じるピエロ・ルッリが逆に悪党から殺される盲目の老人役で登場するのも面白い。