「ネブラスカの一匹狼(66)」

RINGO DEL NEBRASKA(伊)「ネブラスカのリンゴ」、SAVAGE GRINGO(英)「野蛮なアメ公」劇場公開作品

カテゴリー(Ken Clark)

監督アンソニー・ロマン(マリオ・バーヴァ)、脚本ヘスス・ナバロ、アドリアーノ・ボルゾーニ、グラツェラ・ベネデッティ、撮影グリエルモ・マンコーリ、音楽ニーノ・オリビエロ、出演ケン・クラーク、イボンヌ・バスチェン、ピエロ・ルッリ、アルフォンゾ・ロハス、ハワード・ロス、フランク・ブラーニャ

ネブラスカと名乗る流れ者(ケン・クラーク)が、牧場主ヒルマン夫妻に雇われる。ならず者のボスであるビル・カーター(ピエロ・ルッリ)は、夫婦の牧場とともに美しい妻ケイ(イボンヌ・バスチェン)も自分のものにしようと狙っているが、ネブラスカの早撃ちの前に度々そのもくろみを邪魔される。しかし、一味のだまし討ちで夫マーティ・ヒルマン(アルフォアンソ・ロハス)は撃たれ、ネブラスカはケイを守って一人で戦うことになる。

執拗にヒルマンの牧場を狙うカーター一味の真のねらいはマーティが隠していた5万ドルの大金だった。カーターとマーティはかつての仲間で、銀行を襲い、奪った5万ドルをマーティが持ち逃げしていたのだった。ケイは、マーティに騙され、犯行を隠すため仮面夫婦を演じさせられていたと、ネブラスカに告白する。ただし、これは、あくまでケイ自らの自己弁護でこれが、真実かどうかは明らかにされない。ネブラスカは、死んだマーティの遺体になりすましてカーター一味を待ち受け、一味を倒すとともに5万ドルも取り戻す。これも明確には示されないが、ネブラスカは、5万ドル奪回と銀行強盗事件の解決のために派遣されたエージェントであったらしい。

本作の特徴は、大量殺戮、大量発射の無法地帯が原則のマカロニワールドにおいて、人が一人殺されたことを重大事件と受け止め、犯人逮捕、裁判などをしっかり開こうとする米国西部劇に近い雰囲気であること。そのため、マーティを助けるために医師を呼びに行った牧童が、その責任を果たしたり、酒場の主人が保安官役をかって出たりと、登場するキャラクターの多くが善人で、撃ち合いも小規模。登場人物全てが悪人で、殺し合いを繰り返す「情無用のジャンゴ(66)」等と比較すれば、そのマカロニらしくない部分がより明らかだ。

「一匹狼シリーズ」の1本として劇場公開されはしたものの、ストーリーや主人公の格好良さも米国B西部劇的で、本作品が公開されたことについて記憶している人も少ないであろう。しかし、こじんまりとしたストーリー展開は、それなりにまとまっており、破綻も少ない。監督のアンソニー・ロマンは、マカロニホラーの職人監督マリオ・バーヴァの変名で、脚本がしっかり作られているのも頷ける。

主演のケン・クラークは長いことハリウッドでスタントマンをしていた、がっちりした体格の大男。本作品では酒場の格闘シーンなどでスタントマンとしての経歴の一端を披露している。彼はウエスタンよりも「077」シリーズをはじめとするB級のスパイアクションなどに主演していたが結局、目が出ないままで終わってしまったようだ。さらに、特筆すべきは、ニーノ・オリビエロの手による哀愁漂う主題歌。荒野をさすらう男の悲哀を歌い上げた傑作だ。