「復讐のジャンゴ(66)」

2019-12-18

DJANGO SPARA PER PRIMO(伊)「早撃ちジャンゴ」、DJANGO SHOOTS FIRST(英)「早撃ちジャンゴ」劇場未公開、TV公開題名「復讐のジャンゴ・岩山の対決」

カテゴリー( Glenn Saxson)

監督アルベルト・デ・マルティーノ、脚本サンドロ・コンティネンサ、マッシモ・カプリチオリ、アルベルト・フィオレンツォ・カプリ、撮影リカルド・パロティーニ、音楽ブルーノ・ニコライ、出演グレン・サクソン、フェルナンド・サンチョ、イブリン・スチュワート、ナンド・ガッツォーロ、エリカ・ブランク、リー・バートン

ジャンゴシリーズとして期待を抱かせる一本だが、いかんせんグレン・サクソン演じる主人公の個性不足。つばの狭いハットをあみだにかぶったジャンゴは例のマント様コートを着ることもなく、ファッションの面でまず減点。しかも、父の復讐の戦いでありながら、最初から父の遺体を町に届けて賞金をせしめようとするシーンから始まるなど真面目さに欠ける軽い行動が、精悍なガンマンの印象を薄れさせている。撃ち合いや決闘の場面も他の作品と比較して少なくマカロニウエスタン独特の迫力は希薄である。

物語は、銀行家の息子であるジャンゴが濡れ衣でお尋ね者にされた父を陥れた犯人を捜し出して復讐を遂げるというもの。父を陥れた犯人は父と銀行を共同経営していたクラスター(ナンド・ガッツォーロ)。突如現れて銀行の共同経営を主張し始めたジャンゴを消そうと手下を差し向けるもののジャンゴはことごとく返り討ちにする。業を煮やしたクラスターは、ジャンゴのナイフを証拠に銀行強盗の罪を着せて保安官に逮捕させようとするが、ここでもジャンゴは巧みに危機を切り抜ける。いつのまにかジャンゴには、ドク(アルベルト・ルーポ)とゴードン(フェルナンド・サンチョ)という相棒ができて彼を支えるようになっていった。実は、クラスターの妻ジェシカ(イブリン・スチュワート)は、元ドク の妻であり、彼を裏切って銀行家夫人に収まったという因縁があったのだ。

脚本は工夫されており、物語としては破綻なくまとまっている。マカロニウエスタンとしての魅力に欠けているのは主人公の個性と、強力な悪役が存在していなかったことにあるだろう。相棒の一人ゴードンにはフェルナンド・サンチョが扮しているが、サンチョが善玉を演じている作品は思いのほか多く、これも本作の特色にはなり得ていない。

本作品の一番の特徴は聞きごたえのあるニコライの音楽と、全体のストーリーには関係はないところで展開される人を食ったシチエーション。特に、賞金稼ぎリンゴ(ホセ・マヌエル・マルティン)を倒して父親の遺体を奪回したものの賞金が惜しくなって、父の遺体を引っ提げて賞金を受け取りに行く開幕と、仇討ちを果たし、銀行のオーナーに収まった主人公の元に、仇の息子と名乗る男(なんとジョージ・イーストマン)が乗り込んでくるラストには空いた口がふさがらなかった。