「眼には眼を(72)」

2019-12-18

OCCHIO PER OCCHIO,DENTE PER DENTE(伊)「眼には眼を、歯には歯を」、EYE FOR AN EYE「眼には眼を」劇場未公開

カテゴリー(Cameron Mitchell)

監督アルバート・マーシャル、脚本ジョー・モラヒム、トニ・スベルト、アルベルト・マリスカル(アルバート・マーシャル)、撮影ホセ・イグザイヤー・クルス、音楽ルーベン・フェンテス、出演キャメロン・ミッチェル、ジョージ・ルーク、イセラ・ベガ、ヘレナ・ロホ、レイモンド・カフェテラ、ロゼリオ・グエラ

飛び散る血しぶき、エコーを響かせて乱れ飛ぶ弾丸、といった視聴覚に訴える強烈な描写に加えて「アポロンの地獄」を生んだイタリア映画界がメキシコ映画界と組んで、エディプスコンプレックスという特異なテーマをマカロニウエスタンに持ち込んだ問題作。

夫を殺されたサラ(イセラ・ベガ)は、夫の仇を討つために息子のジェド・カーソン(ジョージ・ルーク)を拳銃の名手に仕立てようと画策し、著名な拳銃使いハック(キャメロン・ミッチェル)を雇って、息子にガンマンとしての英才教育を施す。やがて成長したジェドは、愛する母の期待に応えようと次々に殺人を犯していく。

しかも、幼い日に心に負ったトラウマと母親の異常な愛情のために精神のバランスを欠いたジャックの殺しは次第に残虐なものになり、彼は人殺しに悦びを感じる殺人マシーンへと変貌を遂げて行く。ここに至って、師匠であるハックは怪物と化したジャックの息の根を自ら断つために動き出す。拳銃を持って向かい合う師弟。しかし、ハックにジェドを止めることはできなかった。

愛する恋人をも誤って殺し、父代わりだったハックも失った今、最後にジャックが殺す相手は最愛の母親しかいなかった。狂気の果てに自らの母親サラに拳銃を向けるジェド。血にまみれて倒れたサラの死骸に向かって「ママ、ママ」とつぶやきながら口づけをするジャックの姿にギターの悲しげなメロディが重なってストップモーションとなる鬼々迫るラスト。暗澹たる気分にさせられながらも、その凄まじさは忘れ難い作品だ。