「乗れ、そして殺せ(64)」

2019-12-18

CAVALCO E UCCIDI(伊)「乗れ、そして殺せ」 、RIDE AND KILL(英)「乗れ、そして殺せ」  劇場未公開

カテゴリー(Robert Hundar)

監督ホセ・ルイス・ボラウ、マリオ・カイアーノ、脚本ホセ・マロウクュイ、撮影アルド・グレチ、音楽リズ・オルトラーニ、出演アレックス・ニコル、ロバート・ハンダー、アントニオ・カサス、マーガレット・グレイソン

「カサグランデのガンファイター」などの往年の西部劇俳優アレックス・ニコルを主演に据え、ジョン・フォード監督の「リバティ・パランスを撃った男」を横目でにらみながら作ったような初期のマカロニウエスタン。米国製B級西部劇は、正義感に燃える寄る年波のヒーローが町の人々の助けを得て悪を一掃し、最後には年甲斐もなく美女と愛をささやくというパターンが多い。この流れに反してマカロニウエスタンは孤独な若いアウトローヒーローという新たな流れを創り出したのだが、初期のマカロニは本作のように米国製B級西部劇そのもという作品が多い。

ならず者ロイ・ムーディ(ロバート・ハンダー)の一味によって町は支配され人々は恐怖の日々を送っていた。保安官のクライマー(アントニオ・カサス)は何とか頭目のロイを逮捕しようと 試みるがロイは法の網をくぐって尻尾をつかませない。町にはアル中で町の皆から蔑まれているブランディ(アレックス・ニコル)という男がいたが、彼を気遣うのもクライマー保安官と優しい娘エバ(マーガレット・グレイソン)だけだった。ある日たまたま博打で大金を手にしたブランディは、心をよせていたエバにプロポーズするが、賭博で設けた金ではしゃぐブランディをエバははねつける。ところが、そんな折に保安官がロイの手によって殺されてしまう。

無責任な町民たちは引き受け手のいない危険な保安官の職をブランディに押し付ける。エバにいいところを見せたいだけの動機で保安官を引き受けたブランディをロイ一味はさんざん馬鹿にす るが、ブランディは反撃できない。しかし、仇討ちを企てていた保安官の息子がロイの手によって返り討ちにされたことにより、酒を断ったブランディは、決死の覚悟でロイとの勝ち目のない戦いにいどむ。殴り合いでもガンの腕でも全くいいところのなかったブランディが、ロイ一味の前に一人で立ちはだかるシーンは、西部劇でおなじみのシーンだが、これからマカロニとしては考えられない結末を迎えることになる。

ブランディの勇気に共鳴した町民が一斉に銃をもって悪党たちに立ち向かうのである。結局、みんなで力をあわせて勝利を得てめでたし、めでたし、どう見ても娘にしか見えないエバとキスを交わすシーンで終わりという米国西部劇そのまんまのつくりで、マカロニらしさが全く感じられない。そこに目をつむって米国製B級西部劇としてみれば観賞には耐え得る。