「復讐の鼓手(71)」

IL GIORNO DEL GIUDIZIO(伊)「審判の日」、DRUMMER OF VENGEANCE(英)「復讐の鼓手」劇場未公開

カテゴリー(Ty Hardin)

監督ロバート・パジェット(マリオ・ガリアッツォ)、脚本ロバート・パジェット、撮影アルバロ・ランツォーネ、音楽(ゼネラルミュージック)、出演タイ・ハーディン、クレイグ・ヒル、ゴードン・ミッチェル、ロッサノ・ブラッツィ、ロザルバ・ネリ

TV「ローハイド」のクリント・イーストウッドの成功にあやかろうと、米国のTV畑から何人かの俳優がマカロニウエスタンに登場した。なつかしいTV「ブロンコ」のタイ・ハーディンもその一人。悪役、脇役含めて約7本のマカロニウエスタンに登場している。この作品もその一つで、妻子を殺されて復讐に燃える南北戦争帰りの男を演じる。なぜかマカロニウエスタンに出演する彼は、長髪と白い髭に覆われたマスクで登場することが多く、非常に老けた印象を受けるのだが、本作と初期の「L’UOMO DELLA VALLE MALEDETTA(64)」は、米映画で活躍していたときのような精悍さを見せてくれる。

題名にある“鼓手”とは、殺された幼い息子がもっていた太鼓を叩くブリキのおもちゃ人形のこと。このおもちゃのネジを巻いて太鼓の音が止まった瞬間に射殺する方法で復讐をはたしていく。全編が相手を変えながら復讐を遂げていく場面で構成されており、そのたびに名無しの主人公(タイ・ハーディン)は、インディアンの大道芸人、墓堀人などに変装して敵に近づく趣向が面白い。縛り首になる寸前の相手を救出してわざわざ撃ち殺したり、大勢の見物人の中の一人に槍を投げて殺したりするなど、復讐の方法として首を捻りたくなる場面も多く、物語の起伏にも欠けるが、全体として目的に賭ける男の執念が伝わってくる一編だ。

最後は、全ての復讐を果たして大人しく保安官(ゴードン・ミッチェル)に連行されていくのだが、なんと主人公はここで保安官と共に狙撃されてしまう。それまで、主人公を助けていたとみられていたメイソン保安官(ロッサノ・ブラッツィ)が真犯人で、彼のだまし討ちに合ったのだった。しかし、悪夢にうなされるメイソンのもとに、重傷を負いながらも血を滴らせる身体を引きずって乗り込み、復讐を果たすラストはなかなか壮絶。音楽はゼネラルミュージックとあるが、使われているのはモリコーネの「黄金の棺(66)」のテーマ。しかし非情なトランペットの響きが不思議とこの作品にもマッチしていた。なお、大道芸一座の団長としてクレイグ・ヒルが、さらにメイソン保安官役として往年の二枚目俳優ロッサノ・ブラッツィも出演しているところも注目すべき点だ。