「憎しみは我が神(67)」

L’ODIO E IL MIO DIO(伊)「憎しみは我が神」、HATRED OF GOD(英)「憎しみは我が神」劇場未公開

カテゴリー( Tony Kendall)

監督クラウディオ・ゴーラ、脚本クラウディオ・ゴーラ、ビンセンソ・セサミ、ピエトロ・アンキシ、撮影ルチアーノ・トラサッティ、音楽ピポ・フランコ、出演トニー・ケンドール、カルロ・ジョルダーナ、エラ・カリン、ギュンター・フィリップス、ハーバート・フライシュマン、ピーター・デーン、ベナンティーノ・ベナンティーニ

大変奇妙な作品。凄惨なシーンにパンジョーの軽快な曲が流れたり、蝿の死骸がべっとりとついたハエとり紙ごしに人物の表情を撮影したりと、雰囲気を意図的に崩しているとしか思われないようなカメラワークや音楽の使われ方がされている。さらには、ボスが殺されようとしているのを見ながら手下が背後からのんびり歩いて近寄っていくシーンや、主人公が、さしたる理由もなく突然自分の愛犬を撃つシーンに代表されるように登場人物の行動が唐突で意味不明なのである。それらの理由で何が起こっているのかわからない場面がいくつもある。ワースト作品とも思いたくなる奇妙なシーンが連続するのだが、その反面、繰り広げられるガンプレイや投げナイフの妙技はマカロニウエスタンそのもの、主人公二人の寡黙でニヒルな個性もなかなか格好良いのだ。

物語は、無実の罪を着せられ、リンチによって殺された兄の仇を討つために町に舞い戻って来た若者ビンセント・カーニー(カルロ・ジョルダーナ)の復讐譚。ナイフが得意なビンセントは、まず手始めに兄に無実の罪を着せた裁判官スミス(ギュンター・フィリップス)を必殺の投げナイフで倒す。次には、兄の屋敷と、恋人ロザリンド(エラ・カリン)を奪ったアーサー・フィールド(ピーター・デーン)の屋敷を襲撃、ロザリンドの目の前で、アーサーにナイフを叩き込む。そんな彼を度々助けるのが、謎のガンマン、ブラック(トニー・ケンドール)なのだが、このブラックが、本作を混乱させている張本人。すぐにかっとなってやたらとぶっ放すとんでもなさは、殺人狂としか思えぬアンチヒーローぶり。

結局、彼の正体は最後まで分からずじまいだった。そんな中で、登場人物たちの不可解な行動や不思議な画面が繰り返されるのだが、最後の仇である銀行家のアレックス・カーター(ハーバート・フライシュマン)と彼の雇った殺し屋スウィーティー(ベナンティーノ・ベナンティーニ)一味との戦いは、銃弾とナイフが乱れ飛ぶ、迫力に満ちた銃撃戦だ。悪党の手下の中にファビオ・テスティの顔がチラリと見えたり、「ガンクレイジー(66)」のエラ・カリンや、「バンディドス(67)」で見事な悪役ぶりを見せたベナンティーノ・ベナンティーニがさして重要ではない役で登場したりという変わったキャスティングも不思議。音楽担当のピポ・フランコまでバンジョー引きの役で出演していた。さらには、センスが良いとはとても思えないが、縛り首になった兄の亡骸を禿鷹がついばむというとんでもなく残酷なタイトルバックシーンもこの作品の特徴の一つになっている。