「スペシャリスト(69)」

GLI SPECIALISTI(伊)「スペシャリスト(殺しの達人)」、DROP THEM OR I’LL SHOOT(英)「銃を捨てろ、さもなければ撃つ」劇場公開作品

カテゴリー(singer)

監督セルジオ・コルブッチ、脚本セルジオ・コルブッチ、サバティーノ・チウフィーニ、撮影ダリオ・デ・パルマ、音楽フランチェスコ・ラバニーノ、出演ジョニー・アリデイ、ガストーネ・モスキン、マリオ・アドルフ、フランソワーズ・ファビアン、セルジュ・マルカン、シルビイ・フェネック、ジノ・ペルニーチェ

70年代になって日本公開されたこの作品は、主演に当時人気のあったフランスのポップ歌手ジョニー・アリデイを起用したことが話題になった。ニヒルで寡黙なマカロニガンマンの個性にアリデイはぴったり。ロングコートをなびかせて登場するどこから見ても典型的なマカロニガンマンを演じきった主人公の格好良さがこの作品の一番の魅力だ。アリデイを発掘したのも、コルブッチ監督の眼力であろう。

全編を通して工夫を凝らしたガンプレイ、墓場と大金、弾丸を跳ね返す鎖帷子、片腕のメキシコ山賊と、マカロニ独特の道具立てが次々に登場する傑作。マカロニウエスタンの制作本数も減少し、公開される作品も各国との合作でどの国の西部劇かわからなくなったものや、変則的な内容でマカロニの本質的な魅力から離れたものしか見られなくなっていたころに、マカロニウエスタン本質を見失っていない本作が公開さ れたことは何よりうれしかった。

無実の罪で殺された兄の復讐のため、無法の町に殺しの達人スペシャリストと名をはせたガンマンのハッド(ジョニー・アリデイ)がやって来る。恐れおののく町の有力者達。ハッドの兄は、凶悪な牧場主ブート(セルジュ・マルカン)をはじめとした、町民たちのリンチによって惨殺されていたのだった。ハッドは、兄の恋人だったシバ(シルビイ・フェネック)の手を借りながら、焼け焦げた札を手がかりに死の直前に兄が隠した大金の謎を解いていく。しかし、彼の前には、幼なじみでもある片腕の山賊ディアブロ(マリオ・アドルフ)や、金の独り占めを狙う悪女バージニア(フランソワーズ・ファビアン)らが現れ、大金を巡って欲望にまみれた醜い争奪戦が展開されていく。

そうした、物語展開の中でハッドが見せるガンアクションは特筆もの。片足を負傷したため、柵にもたれかかったまま二挺のライフルを束ねた流し撃ちで大勢の山賊をバッタバッタとなぎ倒したり、馬を並べて進む保安官の拳銃を抜き取るや馬上を飛び超えて着地し、連射したりするなど、数あるマカロニの中でも刮目すべきアクションが連続する。また町中が金の亡者になっていて、襲撃してきたディアブロの前に一人立ち向かった実直な保安官ゲデオン(ガストーネ・モスキン)がディアブロからあっけなく撃ち殺されると、その亡骸を踏み越えて金に群がるという浅ましさ。正義をとなえながらも、金に執着するという人間の描き方は、「情無用のジャンゴ(66)」をほうふつさせ、本作品でもコルブッチ監督独特のアイロニーがしっかりと顔をのぞかせている。その他、ヒッピーのような若いちんぴらたちが登場して狂言回し的な役割を演じているが、これも当時を象徴しているようで興味深い。

 

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Posted by 栄一水上