「跪けよそ者、死者は影を落とさない(71)」

INGINOCCHIATI STRANIERO…I CADAVERI NON FANNO OMBRA(伊)「跪けよそ者、死者は影を落とさない」、STRENGER THAT KNEELS BESIDE THE SHADOW OF CORPSE(英)「死体の陰に跪くよそ者」劇場未公開

監督マイルズ・ディーン、脚本ディモフィオ・フィデーニ、R・M・バレンツァ、撮影アリステッド・マサセッチ、音楽カリオラノ・ゴーリ、出演ハント・パワーズ、チャット・デービス、ゴードン・ミッチェル、エットレ・マンニ

カテゴリー(Hunt Powers)

マイルズ・ディーン監督のいつものキャスト、スタッフの作品だが、前半の主人公が後半では悪役になるという奇妙な作品。例によってストーリーはあってなきがごとくで、場面はやたらとあちらこちらにとび、主人公らが、馬を走らせる場面ばかりが頻繁に挿入される、ある意味では退屈な作品なのだが、主人公のスタイルや場面の雰囲気、そして凝ったカメラワークなどは生粋のマカロニウエスタンの雰囲気を伝えてくれる。

ハント・パワーズはディーン監督作品に登場するときの独特の黒づくめスタイル。開幕から棺桶ならぬ、お尋ね者の死体を引きずって登場する姿はマカロニムード満点。銃身を調整して射程を自由に変えられる秘密兵器を駆使する賞金稼ぎのサバタ(ハント・パワーズ)は、町で人々を酷使しているボスのベレット(エットレ・マンニ)を脅して金を巻き上げる。ベレットが差し向けてくる殺し屋たちを片づけた彼は悠々と町を去っていくのだが、開幕から、彼の後を執拗に追い続ける、謎のガンマン、ブランデ(チャット・デービス)の姿があった。このブランデもジャンゴばりのひげ面でマフラーを首に巻いた独特のスタイル。マカロニヒーローらしさを漂わせてなかなかの迫力だ。ただし、なぜブランデがサバタを追跡するのかという理由がはっきりしない。ラストでサバタがアジトとしている町はずれの小屋にいる老人がどうやらブランデの父親という設定がなされているらしいのだが、そのあたりの展開がなかなかつかみにくい。

結局、サバタと対峙したブランデは決闘でサバタを倒す。2人のマカロニガンマンが対峙するこの決闘シーンもマイルズ・ディーン監督作品にしては、なかなかのカッコよさ。物語がわかりにくくとも、主人公の絵になるスタイルとガンプレイさえあればマカロニはなんとか作品として成立することをこの作品は証明している。