「必殺の用心棒(66)」

SUGAR COLT(伊)「シュガー・コルト」、SUGAR COLT(英)「シュガー・コルト」劇場公開作品

監督フランコ・ジラルディ、脚本アウグスト・フィノッキ、ジュゼッペ・マンジョーネ、サンドロ・コンティネンサ、フェルナンド・ディ・レオ、撮影アレハンドロ・ウロア、音楽ルイス・エンリケス・バカロフ、出演ハント・パワーズ、ソレダード・ミランダ、ジャンヌ・オーク、ジュリアーノ・ラファエリ、エルノ・クリサ、ナッツァレーノ・ザンペルラ

マカロニウエスタンがブームを巻き起こしていた時期、映画の世界でもう一つの話題をさらっていたのが007シリーズである。その影響を受けて当時はスパイアクションシリーズが数多く作られた。この「必殺の用心棒」も007シリーズの影響を受け、スパイアクションとミステリー的な要素を盛り込んだ、マカロニウエスタンだ。

南北戦争が終わり、故郷へ帰るために行軍していた北軍の狙撃兵100人が忽然と姿を消した。その調査に乗り出したのが元政府の秘密諜報部員シュガー・コルト(ハント・パワーズ)。彼は、行軍をしていた狙撃兵部隊が、姿を消したと思われるスネークバレーの町に医師トム・クーパーとして潜入する。町ではよそ者の彼に冷たいが、酒場で働く娘(ソレダード・ミランダ)はコルトに心を寄せる。彼女や酒場のピアノ弾き(マヌエル・ムニス)の協力を得ながらコルトは、連隊が町のボスであるハバーブルック大佐(ジュリアーノ・ラファエリ)の手によって誘拐されていたことをつきとめていく。

女性にもてるプレイボーイ、ちょっととぼけて常にゆとり持っているというスパイ映画のキャラクターはシュガー・コルトという主人公にも生かされている。コルトが女性専門の射撃教室を開いていたり、酒場の女の子に言い寄ったりする姿がそれだ。そのため、シュガー・コルトの正体を明かすまでの主人公は、もっぱらとぼけた演技で後のコメディ路線へと変更していくマカロニウエスタンの原型をそこに見ることができる。しかし、こうしたスパイアクションのゆとりを持った戦いぶりは、必死さに魅力があるマカロニウエスタンとは根本的に面白さの質が異なる。車輪にダイナマイトをくくりつけてころがし、敵陣を爆破するシーンや、逃げ出そうとするボスを逆に町へ追い込み、脱出して来た連隊の若者達の前に引きずり出すラストなどマカロニウエスタンらしい工夫をした個所は多々見受けられるのだが、ゆとりのある戦いぶりで壮絶さが伝わってこない。

またスパイアクションの長所をマカロニウエスタンに取り込むならば後期のサバタやサルタナシリーズのようにもう少し、秘密兵器や銃器にバラエティがあっても良かったような気がする。この作品で秘密兵器と呼べそうなものは、火にくべて出てくる煙を吸い込むと気が解放されて、自白剤のような効果を見せる薬草くらいのもの。それもあまりに奇抜すぎて、少し寂しかった。名手ルイス・エンリケス・バカロフの手による音楽は、とぼけたメロディのコルトのテーマと兵士達への鎮魂歌のようなトランペット曲がその場の雰囲気によってうまく使い分けられていて、なかなか良い。