「傷だらけの用心棒(68)」

CIMITERO SENZA CROCI(伊)「墓標なき墓場」、CEMETERY WITHOUT CROSSES(英)「墓標なき墓場」、劇場未公開、TV/DVD公開題名「傷だらけの用心棒」

カテゴリー(french acter)

監督ロベール・オッセン、脚本クラウデ・デ・サイリー、ロベール・オッセン、ダリオ・アルジェント、撮影ヘンリ・ペルシン、音楽アンドレ・オッセン、出演ロベール・オッセン、ミッチェル・マルシア、セルジュ・マルカン、ダニエル・バルガス、アンナ・マリア・バリーン、リー・バートン

フランスの名優ロベール・オッセンが自ら監督し、主演したフレンチ風味満載の奇異なマカロニウエスタン。名優ロベール・オッセン自らが監督、脚本を担当したのは怪奇映画の巨匠ダリオ・アルジェント、という話題満載の作品だ。しかし、そうしたスタッフの豪華さとは全く別の面でこの作品を異色たらしめているのはその雰囲気。とにかく雰囲気が暗い。ほとんど物言わぬヒーローやヒロインに加えて最後には登場人物の大半が死んでしまう物語の流れは「殺しが静かにやって来る(68)」に通じるフレンチ系マカロニウエスタン独特のものだ。

ゴーストタウンに一人で住む寡黙な殺し屋マヌエル(ロベール・オッセン)は、かつて愛した女マリア(ミッチェル・マルシア)から、彼女の夫ベン(ベニト・ステファネリ)をリンチにかけて殺した牧場主ロジャース(ダニエル・バルガス)への復讐を手伝うよう依頼される。ロジャース一家に用心棒として潜り込んだマヌエルは一家の一人娘ダイアナ(アンナ・マリア・バリーン)を誘拐してくる。マリアの願いはダイアナを人質にとって殺された夫の葬儀にロジャース一家を参列させることだけだった。娘かわいさ故にマリアの要求通り、マリアの夫の葬式を執り行うロジャース一家。しかし、逆にベンの弟たちトーマス(リー・バートン)とエリア(ミシェル・ルモワン)兄弟がロジャースにダイアナの奪回を申し出てくるのだった。

結局トーマスはマヌエルから返り討ちに合うものの、隠れ家をロジャースに知らせてしまう。初めからダイアナを返すつもりだったマヌエルは、ダイアナをロジャースの牧場に送り届けるもののそのすきにゴーストタウンを襲ったロジャースたちから今度はマリアが殺されてしまう。復讐が復讐を呼び、家族や兄弟のために互いが殺し合って全滅していくという善と悪の境界が明確でない、非情なストーリー展開が独特だ。

一人でロジャース一家を全滅させたマヌエルが、ついには解放してやったダイアナから無抵抗なまま射殺されるラストまで、ひたすら重苦しい雰囲気が充満する異色のマカロニウエスタンだ。よれよれの白いマフラーを巻き、殺しの前には黒い皮手袋をはめて素早いリバースドロウの抜き撃ちを見せるマヌエルがなかなか個性的。本作に、セルジオ・レオーネ監督がカメオ出演するという企画もあったようだが、結局流れ、レオーネが演じるはずだった宿の主人役はクリス・ヒュエルタが演じている。