「ゲット・ミーン(75)」

GET MEAN(伊)「キレたぜ!」、GET MEAN(英)「キレたぜ!」劇場未公開

カテゴリー(Tony Anthony)

監督フェルディナンド・ベルディ、脚本フェルディナンド・ベルディ、撮影マリオ・ペリーノ、音楽ビクシオ・テンペラ、出演トニー・アンソニー、ロイド・バティスタ、ラフ・バルダサーレ、ダイアナ・ロリー

1作目の「暁の用心棒(66)」のみが日本公開されたが、トニー・アンソニー主演の「ストレンジャーシリーズ」は4本製作されており、この作品はその最終作にあたる。流れとしては、傑作「LO SUTORANIERO DI SILENZO(69)」の流れを受けて、世界をまたにかけるストレンジャーが再び異国へ渡る話だ。しかし、時代考証や、舞台の背景など完全に無視したなんでもありのハチャメチャな展開は、今回でピークに達し、西部劇の領域を完全に逸脱したトンデモ映画になってしまった。とりあえず異国といっても舞台がスペインなので製作するヨーロッパ側からみると、逆にストレンジャーが里帰りしたことになり、前作より作りやすかったにちがいない。

しかし、スペインの石畳を背景に、バイキングの兜を身に着け、土壌髭に辮髪を結ったモンゴリアンが半月刀を振り回す画面は異様だ。スペインのお姫様エリザベス(ダイアナ・ロリー)を護衛して自国に連れ帰ることを依頼されたストレンジャー(トニー・アンソニー)は、ムーア人とバーバリアンの争いに巻き込まれる。バイキングともモンゴル人ともつかないバーバリアンの首領ディエゴ(ラフ・バルダサーレ)と、権謀術数を駆使するヨーロッパ貴族ソンブラ(ロイド・バティスタ)の怪演が見もの、ストーリーは、前作で日本を舞台として描かれた武士と野武士の争いをそのままヨーロッパに置き換えたようなものだが、アクションが、過剰にエスカレート。ラストは大砲を思わせる4連装のショットガンにダイナマイト、弓矢を全身に装備して敵陣に殴り込む。繰り返される爆破シーンの連続から見ても相当な予算を費やして制作されたことが分かる。

おしむらくは、徐々に肥満しはじめたトニー・アンソニーから初期の作品の精悍さが消え失せてしまっていること。本人もそのことを自覚したうえか、2作目ぐらいから目立ちはじめた少し間が抜けて情けない個性もこの作品でピークになってしまった。これが作品の迫力を奪ってしまい真面目なのかふざけているのか中途半端になっている点が残念だ。ただし、新兵器である回転式の大砲をぶっ放してくるソンブラとの最後の対決はきっちりとコルトSAAで決着をつける点はさすがマカロニヒーロー、ストレンジャーの面目躍如というところ。なお当然のことながら、例によって製作もトニー・アンソニー自身が手掛けている。