「荒野の復讐(81)」

COMIN AT YA(伊)「首を洗って待っていろ!」、COMIN AT YA(英)「首を洗って待っていろ!」劇場未公開、TV/DVD公開題名「荒野の復讐」

カテゴリー(Tony Anthony)

監督フェディナンド・ベルディ、脚本トニー・ペティト、ロイド・バティスタ、ゲネ・クインタナ、撮影フェルナンド・アリバス、音楽カルロ・サビーナ、出演トニー・アンソニー、ビクトリア・アブリル、リカルド・パラシオス、ジーン・クインターノ、ルイス・ゴードン

マカロニに様々なアイデアを導入し、怪作・珍作を制作主演しているトニー・アンソニーが今回は立体映画に挑んだ異色作。そのため、全編通して銃口や槍をはじめ、木の実やシャボン玉、はてはコウモリ(あまりにも露骨な作り物)やねずみ・蛇(テープで瓶に固定されているのがはっきり見える)にいたるまで、ありとあらゆる物が画面から飛び出してくる映像が過剰な程盛り込まれている。

そうした本筋とは関係のない画面のみに目を奪われがちだが、はずれ作品の少ない名監督フェディナンド・ベルディの監督作だけあって、スライドアクションのショットガンを駆使した撃ち合いの場面も多く、なかなか楽しめる作品に仕上がっている。ストーリーはほとんど「盲目ガンマン(71)」のリメイクといって良い程似ている。結婚の誓いをしているその場で最愛の花嫁エイブリル(ビクトリア・アブリル)をポークとパイク(リカルド・パラシオスとジーン・クインターノ)のトンプソン兄弟率いる人身売買の一味に略奪された男ハート(トニー・アンソニー)が執念で一味を追跡して妻を救出すると共に一味を全滅させる物語。

一味に正面から乗り込んだハートが叩き出される場面や、一度は脱出して馬車で逃げる捕虜たちをならずものが砂塵をけって追い立てるシーンまで「盲目ガンマン」そっくりだ。ラストは襲いくる敵を次々とショトガンでなぎ倒しながら、パイクはダイナマイトで派手に爆死させる。後期の作品だけにトニー・アンソニーの頬がたるみ、「暁の用心棒(66)」のころの精悍さがなくなっているのは残念。本人もそのことを自覚して格好良さより、なりふり構わぬ必死さを強調しているのは良いが、それが情けなさに見えてしまうのは後期のトニー・アンソニー作品の欠点だ。

もう一人トニー・アンソニー以上に体を張った熱演を見せるのが、エイブリル役を演じるビクトリア・アブリルだ。トンプソン兄弟一味から、これでもかというほどに苛め抜かれるが、それにもめげず最後まで抵抗し、最後は、助けに来たハートの目の前で背後から撃たれてしまう。これで終わりかと思えばそれでも最後まで生き残り、吹っ飛ばされたパイクをしり目に夫のハートと共に去っていく。強烈な生命力を感じさせる怪演だった。さらに特徴的な点が音楽。カルロ・サビーナ作曲の作品の中でも傑作といえる流麗なメロディが全編に流れている。この音楽は数あるマカロニウエスタン音楽の中でも名曲の一つに数えられるだろう。