「ガンマン渡世(67)」

UN UOMO,UN CAVALLO,UNA PISTOLA(伊)「男、馬、拳銃」,STRANGER RETURNS(英)「帰って来たよそ者」劇場未公開、音楽紹介題名「ガンマン渡世」

カテゴリー(Tony Anthony)

監督バンス・ルイス(ルイジ・ベンツィ)、脚本トニー・アンソニー、ボブ・エンセスコーレ、ジュゼッペ・マンジョーネ、撮影マルセーロ・マスチオッチィ、音楽ステルビオ・チプリアーニ、出演トニー・アンソニー、ダン・バディス、マルコ・グリエルミ、ダニエル・バルガス、エットレ・マンニ、アンソニー・フリーマン、ラフ・バルダサーレ、ジル・バンナー、レナート・マンボル、フランコ・スカラ

日本で劇場公開されたトニー・アンソニー主演作品は「暁の用心棒(66)」と「盲ガンマン(71)」だけ、しかし、プロデューサーや脚本も兼任することが多いトニー・アンソニーは、「暁の用心棒」のよそ者(ストレンジャー)が活躍する4本の作品を製作、主演している。本作は、その2作目にあたる。ステルビオ・チプリアーニ作曲による主題曲が「ガンマン渡世」の名で紹介され、日本でもこの題名で知られている。

旅の途中で、政府の調査官ロスの死骸を発見したストレンジャー(トニー・アンソニー)は、身分証を拝借して捜査官になりすまし町に乗り込む。ロス捜査官は、凶悪な賞金首アンブラン(ダン・バディス)率いる一味と通じており、町に大量の金が馬車で運ばれてくる情報を流していた。アンブランは馬車を待ち伏せして、乗客と警備兵を皆殺しにすると馬車を強奪するが、馬車に金塊は積まれていなかった。金塊の行方を捜すストレンジャーも、正体を一味に見破られリンチを食らう羽目になる。しかし、金塊は馬車そのもので。黄金の馬車の周囲を木材で覆うカモフラージュが施されていたのだ。

善人ジムと呼ばれ表向きは幸福な一家の主を演じているジム(ダニエル・バルガス)は、アンブランに脅されて一味の手引きをさせられていた。しかし、ジムの正体は、黄金の馬車とそっくりな馬車をもう一台準備して、黄金の馬車とすり替えるというアンブランをも欺く悪党だったのだ。ジムがアンブランを出し抜いた隙をついて一味から逃れたストレンジャーは、唯一の味方である説教師(マルコ・グリエルミ)の力を借りて強力な四連装のショットガンを手に入れる。アンブラン一味は、裏切り者のジムを血祭りにあげ、黄金の馬車を再び手中にしていたが、ストレンジャーは闇に紛れて一味への反撃を開始する。

内容は完全に「暁の用心棒」の続編で、屋根の上を相手の足音に合わせて移動し、飛び降りざまの1瞬に撃ち倒したり、棺桶の中に隠れて撃ったりとガンプレイも前作のバリエーションだ。一味を全滅させたストレンジャーは、懸賞金を説教師に譲り、黄金の馬車をかっさらって逃走しようとするが、最後に思わぬドジを踏んでしまう。すべてが水の泡となってしまったストレンジャーが説教師に渡した懸賞金を折半にするラストは、颯爽としたキャラクターとは趣を異にするストレンジャーシリーズらしい結末だが、二人の友情が、なかなか爽やかだった。

全編にしつこいくらいステルビオ・チプリアーニの音楽が流れており、音楽が内容を凌駕しているという感もあるが、物語展開がしっかりしており、撃ち合いのシーンも豊富な佳作。ちなみに、チプリアーニは自ら作曲した「ベニスの愛」とフランシス・レイ作曲「ある愛の詩」の導入部が似ているということで訴訟を起こしたことで有名だが、本作のテーマは、モリコーネ作「ガンマンの祈り」と導入部が同じと訴えられることはなかったのだろうか。