「一匹狼クリント(68)」

CLINT IL SOLITARIO(伊)「一匹狼クリント」, CLINT THE STRANGER(英)「一匹狼クリント」劇場未公開

カテゴリー( George Martin)

監督アルフォンゾ・バルカザール、脚本ホセ・アントニオ・デ・ラ・ローマ、ヘルムート・ハーラム、アルフォンゾ・バルカザール、撮影ビクター・モンリアル、音楽ノラ・オルランディ、出演ジョージ・マーティン、マリアンネ・コッホ、フェルナンド・サンチョ、ウォルター・バーンズ、フランシスコ・ホセ・ヒューエトス、

ジョージ・マーティンの代表的主演作とされる作品。スペイン系独特の東洋的なマスクをもつジョージ・マーティンは、マカロニ荒野の荒々しい雰囲気に今一つ馴染めない印象を受ける。しかし、ノラ・オルランディ作曲の穏やかな主題歌、美しいアルプスの山々を背景にした画面づくりなど本作品のように優しさを前面に押し出した作品にはしっくり調和しているようだ。

悪の一味から足を洗うため殺人を犯したガンマンのクリントは、投獄される。数年後出獄し、その間に行方不明になってしまった家族をやっと捜し当てたクリントだったが、妻のジュリー(マリアンネ・コッホ)は、息子トム(フランシスコ・ホセ・ヒューエトス)と静かに生活しており誠実な農夫ビルが彼女へ求婚していた。クリントは息子に自ら父と名乗ることもできず、2度と拳銃を握らない約束をジュリーと交わし使用人として家においてもらうことになる。トムにせがまれたとはいえ、別れた夫を使用人として雇い共同生活するジュリーの感性には首をかしげざるを得ないが、そこは目をつむろう。

町は牧場主ウオルター・シャノン(ウォルター・バーンズ)を家長とするシャノン一家が牛耳っており、牧草地確保のため、シャノンは農民たちを追い出そうとしていた。保安官はシャノン一家によって殺され、副保安官(ミゲル・デラ・リーバ)と組んだシャノンたちは、農民側のリーダー、マッキンレー(ベニー・デュース)を不当に逮捕する。シャノン一家の農民に対する嫌がらせはますます過激になり、農夫ビルにもその危害が及ぶに至ってクリントはシャノン一家との全面対決を決意する。ここまで書けばこの作品が実父版「シェーン」であることがわかるだろう。

農民たちを指揮してシャノン一家と戦うアクションシーンはなかなかの見どころ、炎を前転で飛び越え、走り、転がりながらライフルを撃ちまくるクリントの雄姿はアクション俳優ジョージ・マーティンの面目躍如といったところ。業を煮やしたシャノン一家は、マッキンレーをリンチで縛り首にしようとする。マッキンレーの救出に向かったクリントはガンマンの本領を発揮、シャノン一家を瞬く間に皆殺しにしてしまう。悪を一掃し平和を取り戻したクリントだったが、もはや家族と一緒にいるわけにはいかない。息子トムの「カムバーック」という声を背に受けながらクリントは山脈の彼方に去っていく。

となれば「シェーン」そのまんまだが、さにあらず。「お父さん帰って来て!」の一言で息子が彼のことを父親だと気付いていたことが分かるやクリントは踵を返し家族と熱い抱擁を交わしてラストとなる。ジョージ・マーティン自身の監督によって続編も製作されている。マカロニウエスタンらしからぬホームドラマだが、アクションや決闘のシーンもふんだんに盛り込まれ個人的には好きな作品のひとつだ。