「サルタナは許さず(68)」

SARTANA NON PERDONA(伊)「サルタナは許さず」、SARTANA DOES NOT FORGIVE(英)「サルタナは許さず」劇場未公開

カテゴリー(George Martin)

監督アルフォンゾ・バルカザール、脚本ジョルジョ・シモネッリ、ハイメ・ヘスス・バルカザール、撮影ハイメ・デル・カサス、音楽フランチェスコ・デ・マージ、出演ジョージ・マーティン、ジャック・イーラム、ギルバート・ローランド、トニー・ノートン、ジェラール・テイシー、ドナテナ・トウリ、カルロス・ムスト

これはジョージ・マーティンの主演したマカロニでは最高の作品といって良いだろう。黒いマント様のコートに身を包み、汗でぎらついた顔に無精髭の主人公が砂塵吹きすさび人の通りがなくなった町で敵をばったばったと倒して行くラスト。そんなマカロニムード満点の作品だ。

サルタナの狙いは彼の婚約者を暴行したあげく殺害した凶悪犯スリム・コバックス(ジャック・イーラム)とその一味を壊滅させることだった。神出鬼没に現れ、スリムの手下たちを倒していくサルタナ。さらに、サルタナは、スリムから裏切られ、命を落としかけた農夫のホセ(トニー・ノートン)と協力してスリム一味を追い詰めていく。例によってギルバート・ローランドは敵か味方かわからないところをチョロチョロして、いざとなったらおいしいところをさらっていく謎のオッサン、キルヒナーを演じているが、この役柄は、いてもいなくてもよさそうなあまり重要とは思えないキャラクターだ。

藪にらみの特徴的なマスクで強烈な個性を放つハリウッド俳優ジャック・イーラムは、普段は何となく愛嬌のある役柄が多いのだが、本作に限っては徹底した悪役。サルタナの婚約者を暴行して殺害するだけでなく、窮地を救ってくれた恩人のホセを見捨てて一人で逃走したり、 正々堂々の決闘と見せかけて相手には弾丸の入っていない拳銃を渡したりと卑怯極まりない。極悪非道の強敵というよりも小賢しい小悪党という印象である。その結果、ラストで周囲は敵ばかりになっておたおたするのでちょっぴりかわいそうになってしまう。

宿敵がそれほどの強者として設定されていない本作の見どころは、なんといってもスリムの手下たちを次々に倒していくラストの撃ち合い。同じバルカザール監督の「殺し屋がやって来た(66)」でも用いられた、足元に転がしたダイナマイトを狙い撃つ殺法を要所で用いながら、撃ちまくる主人公の格好良さは、マカロニの魅力に溢れている。二階の敵を狙い撃ち落下して来る様を低いアングルから写したショットはあわや数センチで主人公と激突する位置に迫ってきて迫力満点。一歩間違えば事故になっていたことだろう。フランチェスコ・デ・マージの音楽もマカロニの魅力をたっぷり聞かせるビートの効いた曲だ。