「夕陽の墓場(67)」

LA GURANDE NOTTE DEL DESPERADO (伊)「ならず者の夜」、RINGO’S BIG NIGHT(英)「リンゴの大いなる夜」劇場公開作品

カテゴリー(William Berger)

監督マリオ・マッフェイ、脚本シルバー・ベム、撮影カルロ・ペレロ、マノロ・メリーノ、音楽カルロ・リスティケリ、出演ウイリアム・バーガー、エドワルド・ファハルド、アドリアーナ・アムベシ、ウォルター・マッストシ、グイド・ダ・サルビ

マカロニウエスタンには常連というべき名バイプレーヤーが何人か存在する。ウイリアム・バーガーはその1人、数多くのマカロニウエスタンに出演し、悪役・脇役を見事にこなして映画をもり立てていた。「西部悪人伝(70)」のバンジョー役などは、彼の個性が見事に生きたものといえるだろう。バーガーの単独主演作品も日本未公開の作品の中には、いくつか存在するのだが、日本で劇場公開されたバーガーの単独主演作品は、この1本だけだ。しかし、残念ながらB級の米製西部劇の雰囲気で、壮絶さ悲愴感が全く感じられない。

金を輸送する馬車が襲われ20万ドルが強奪される。強奪犯の濡れ衣を着せられた流れ者のジャック(ウイリアム・バーガー)は、疑いを晴らすため、密かに脱獄し。牢にいるとみせかけて盗まれた20万ドルを奪って帰って来ようとする物語。真犯人は保安官と彼を裏で操っているフィンドレイ市長(エドワルド・ファハルド)であることを暴き、20万ドルを手にすると、それを滝つぼに隠して明け方には牢に戻って来る。無実が証明され、滝つぼに向かうと金を納めていた容器が割れて、札束は川に流されてしまっていた。結局、彼は市長の罪を暴くために、流れ者を装って一緒に留置所に入れられていた捜査官ブロークン(トム・フェレジー)によってまんまと利用されていたことが明らかになる。

1晩の間にけりをつけようとするこの設定は、ウォルター・ヒル監督の「48時間」に 先駆けて目新しいが、1晩での犯人捜しはやはり無理があり、とんとん拍子で事件が解決していく展開には違和感がある。また、1晩の出来事を描くため当然のことながら、夜のシーンばかりで、画面で何が行われているかよくわからない場面が多い。そして、何よりまずい点は、主人公の個性が不明確で、格好良さに欠けることだ。ウイリアム・バーガーという俳優は、性格を強烈にアピールできるキャラクターなら見事な存在感を示すことができる。そのためには、中途半端な主演よりも、悪役や脇役で主人公をくってしまうような役柄を演じているときの彼の方が、光って見えるのだ。