「西部を引っ掻き回す三人組(68)」

I TRE CHE SCONVOLSERO IL WEST(VADO,VEDO E SPARO)(伊)「西部を引っ掻き回す三人組」、I CAME,I SAW,I SHOT(英)「来た、見た、撃った」劇場未公開、TV公開題名「狙い撃ち」

カテゴリー(Antonio Sabato)

監督エンツィオ・G・カスティラーリ、脚本アウグスト・フィノッキ、エンツィオ・G・カスティラーリ、撮影アレッハンドロ・ウロア、音楽カルロ・リスティケリ、ブルーノ・ニコライ、出演アントニオ・サバト、フランク・ウォルフ、ジョン・サクソン、レオ・アンチェリス、アガタ・フローリ、

「来た、見た、勝った」とはジュリアス・シーザーの名言として有名。本作品の英語題名はこれをもじったものだ。フランク・ウォルフ扮する詐欺師キーンが牧師に化けて説教するとき盛んにシーザーの言葉を引用していたことに由来する。素晴らしいスタッフにアメリカからジョン・サクソンを迎えてキャストも充実させて作られたものだが、マカロニウエスタンとしての凄みや撃ち合いの迫力は感じられないドタバタコメディのレベルで終わっている。それでも、主人公たちのファッションや、テンポのよい物語の流れなどは、やはりカスティラーリ監督というべきか。

若いモーゼス・ロング(アントニオ・サバト)と偽牧師エドウィン・キーン(フランク・ウォルフ)は、それぞれが単独で、金庫から輸送される40万ドルを狙うが、鉢合わせしてしまったことから、金の強奪に失敗してしまう。手を組むことにしたモーゼスとキーンは銀行に納められた金を地下から狙い、金の強奪に成功するものの、今度は、モーゼスが奪った金を持ち逃げしてしまう。そこに現れたのが、流れ者のギャンブラー、クレイ・ワトソン(ジョン・サクソン)。今度は、クレイと組むことにしたキーンは、二人でモーゼスを追うが、そのことに気づいたモーゼスは、知り合ったメキシコ娘ロザリア(アガタ・フローリ)を妊婦に仕立て、彼女のお腹に金を隠して逃がす。それに気づいたクレイが、ロザリアに追いつくものの今度は、メキシコの村でロザリアの家族から妊娠を祝って、クレイとロザリアの無理やり結婚式をあげさせられることになるという、目まぐるしい展開。

最後は、金を狙ってきたメキシコ山賊ロペス(レオ・アンチェリス)一味も交えての争奪戦へと発展する。定石通りの流れなら、ロペス一味と3人組との大銃撃戦が期待されるところだが、残念ながら銃撃戦ではなく、金の入ったバッグをボール代わりにした水球、ラグビー大会になってしまう。バッグを引ったくり合うシーンをドタバタと繰り返すばかりの最後の展開は、マカロニウエスタンの魅力とは異質のもの。ただ、運動会のかけっこ曲と揶揄されるカルロ・リスティケリの音楽は、不思議に本作品の能天気な作風にマッチしている。

注目したいのはサバト演じるモーゼスのファッション。サスペンダーが弾帯になっている上に、革のズボンに縫い付けてあるポケットはそのままガンホルスターになっているという服装そのものがガンベルトの機能を果たしている面白い物だった。ニヒルでタフな個性をもっていてもっとたくさんのマカロニに出演していそうなジョン・サクソンだが、本作品を含めて彼はわずか2本にしか出演していない。最初に出たのがこの作品だったために、マカロニがいやになってしまったのではないかとも邪推されてしまう。