「行け、野郎、撃て!(70)」

ANDA MUCHACHO SPARA!(伊)「行け、野郎、撃て!」、DEAD MEN RIDE(英)「死者の遠乗り」劇場未公開、DVD公開題名「行け、野郎、撃て!」

カテゴリー( Fabio Testi)

監督アルド・フロリオ、脚本アルド・フロリオ、ブルーノ・デ・ジェロニモ、E.M.ブロチェロ、撮影エミリオ・フレスコット、音楽ブルーノ・ニコライ、出演ファビオ・ティスティ、ホセ・カルボ、エドワルド・ファハルド、マッシモ・セラート

主演のファビオ・ティスティは、もっぱら「殺しのギャンブル」等のマフィアもので活躍、マカロニウエスタンに関してはブームが去る頃に遅れて登場したスターという印象だが、「荒野の処刑」や本作が本邦でも次々にDVD化され、マカロニウエスタンでの活躍ぶりも目の当たりにすることができるようになってきた。モデル出身の彼は均整のとれた体格と整ったマスクを持ち、マカロニアクションにはピッタリの個性をもっている。

地獄のような刑務所を脱獄したロイ・グリーンフィールド(ファビオ・ティスティ)は、逃亡の途中、善良なメキシコ人の老 人(ホセ・カルボ)に匿われる。町のボス(エドワルド・ファハルド)から金山で働くメキシコ人労働者が不当に虐げていることを知ったロイは、老人から委ねられた金を手に町へ赴くが、彼にはもう一つ別の目的があった。「エミリアーノの使いだ」と宣言すると同時に死体の山を築いていくロイの早撃ち。強奪された金を取り戻し、その腕を見込まれたロイはボス一味に用心棒として雇われるが、そこでロイは、一味の囲われ者となっている薄幸の美女ジェシカと出会うのだった。

アルド・フロリオ監督作品としては日本で劇場公開された「五匹の用心棒(66)」以上に出来が良い。その理由は、雰囲気にぴったりマッチしたニコライの音楽と斬新なカメラワークにある。床屋で背後から狙い撃ちにされた主人公がえびぞりになって敵の銃弾をよけると同時に逆襲の一弾を放ったり、テーブルをひっくりかえすと同時に後方に回転しながら連射して3人の敵を倒したりするなど、ガンプレイの見せ場が多彩。そのシーンも床をなめるような角度から、撮影することによって迫力が倍加している。

それまでの行動が謎に包まれていたロイの地獄のような過去が明らかにされるラストの決闘は秀逸。「ウエスタン」でも使われた手法ではあるが、ニコライの音楽と回想シーンを交互に重ねながら、エミリアーノの正体、エミリアーノとジェシカの関係、などの謎が明らかにされていく。特にロイが脱走のとき足につけていた閉じられたままの足枷の謎が明らかにされる場面は音楽が盛り上げ、マカロニムード溢れる見事な対決シーンを作り上げている。

得体が知れない逃亡者のロイにあっさりと金を預けたり、単なる刑務所仲間であったエミリアーノのために命を賭して戦うロイの動機がいまいち不鮮明だったりするマイナス面はあるものの、凝ったガンプレイと迫力ある音楽、格好いい画面構成というマカロニウエスタンの魅力に溢れた未公開作品の中でも特にお薦めの1つだ。