「リンゴ・キッド(65)」

JOHNNY ORO(伊) 「黄金のジョニー」、 RINGO AND HIS GOLDEN PISTOL(英)「リンゴと黄金の拳銃」劇場公開作品

監督セルジオ・コルブッチ、脚本アドリアーノ・ボルゾーニ、フランコ・ロゼッティ、撮影リカルド・パロッティーニ、音楽カルロ・サビーナ、出演マーク・ダモン、エットレ・マンニ、バレリア・ファブリッツィ、フランコ・デ・ローザ、ジュリア・ルビーニ、ロリス・ルッディ、

イタリアの原題は、「ジョニー・オロ(黄金のジョニー)」。この題名の方が、黄金グッズのコレクターが主人公であるこの映画のイメージにはピッタリだが、テッサリ監督の「リンゴのための拳銃(夕陽の用心棒)(65)」のヒットにあやかって「リンゴシリーズ」のひとつとして米国、日本で公開された。そのため、イタリア語版では「ジョニ〜オロ〜♪」と歌われている主題歌が、英語版では「ジョニ〜リンゴ〜♪」と字余りの歌詞に無理に変えられているところがおかしい。他のコルブッチ作品と比べて凄惨さは少ない代わりに、口ひげをたくわえ、黒できめたマーク・ダモンの格好良さは特筆もの。また、マカロニウエスタンの大切な要素である小道具の扱い方の原点を見せてくれる。

リンゴことジョニー・オロ(マーク・ダモン)は、全身黒ずくめの服装に要所を黄金できめるというファッションにこだわったキザな賞金稼ぎ。そのいでたちと同様に、賞金首を倒す時も常に余裕たっぷり。お尋ね者ペレス兄弟の結婚式に乗り込んであっとい う間に兄弟を倒しても、賞金の掛かっていない末弟のホアニート(フランコ・デ・ローザ)は、無傷で逃がしてやり「お前に賞金が付いたら相手してやる」と言い放つ格好良さ。

ジョニーから散々コケにされたホアニートは、ついにインディアンのセバスチャン(ケン・ウッド)一味と手を組んで兄弟の仇を討つため大勢で町に乗り込んで来る。迎え撃つのは、リンゴとノートン保安官(エットレ・マンニ)の家族、あとは留置所にぶちこまれていた老人のみ。保安官とジョニーは、大勢の敵を相手に撃って撃って撃ちまくるが、多勢に無勢で徐々にピンチに陥る。ここで、勝負を決定づけるのがダイナマイト。前夜、トロッコに仕掛けておいた大量のダイナマイトを炸裂させ町ごと吹っ飛ばしてしまうというトンデモなく荒っぽいやり方でけりをつける。少数対多数の対決パターンで勝利を得るためには機関銃かダイナマイトが重要なアイテムとなる。その基本パターンはこの「リンゴ・キッド」から始まったといっていいだろう。

爆薬による一発逆転はダイナマイトを聖書に仕込んだり、植木鉢に仕込んだりと様々なバリエーションで登場するが、この「リンゴ・キッド」でも水筒型の手榴弾やギターに仕込んだ拳銃などいくつかの秘密兵器が登場する。さらに、インディアンを壊滅させた後、ラストで宿敵のホアニートは保安官の幼い息子ステン(ロリス・ルッディ)を人質に取りリンゴ自慢の黄金の拳銃を捨てるように命じる。このピンチにリンゴはピカピカに磨きあげた愛用の黄金パイプで太陽光を反射させて相手の目をくらませ、その隙に拳銃をホルスターに入れたまま撃つことによって逆転に成功する。

コルブッチの公開作として強烈なインパクトには欠けるが、ダイナマイトによる大量殺戮、小道具による一発逆転や、独特のファッションに身を包んだカッコイイ主人公というマカロニウエスタンの基本パターンを初期に示してくれた作品として大いに注目したい。