「二匹の流れ星(67)」

10,000 DOLLARI PER UN MASSACRO(伊)「皆殺しのための1万ドル」、TEN THOUSAND DOLLARS BLOOD MONEY(英)「血に穢れた1万ドル」劇場公開作品

カテゴリー(Gianni Garko)

監督ロモロ・グエリエリ、脚本フランコ・フォガノーロ、エルネスト・ガスタルディ、ルチアーノ・マルティーノ、サウロ・スカボリーニ、撮影フェデリコ・ザンニ、音楽ノーラ・オルランディ、出演ジャンニ・ガルゴ、クラウディオ・カマソ、フェルナンド・サンチョ、ロレダナ・ヌシアク、アドリアーナ・アムベシ、フィデル・ゴンザレス

マカロニ版武蔵と小次郎として公開当時話題になった。胸元に2丁拳銃を携えた賞金稼ぎジャンゴ(ジャンニ・ガルゴ)と右肩口に付けたホルスターから抜く手も見せぬ早撃ちを披露するお尋ね者マヌエル(クラウディオ・カマソ)の対決は確かに武蔵と小次郎を意識したのではないかと思われるような設定である。

この映画の面白さは、ジャンゴという主人公に対抗し得る魅力的な悪役マヌエルの存在によるところが大きい。開幕トランペットによるテーマ曲をバックに2人が広々とした荒野ですれ違うシーンがある。マヌエルの凄みのある表情がアップになりそのまつげに砂漠の砂がこびりついている様子まではっきりと見える独特の描写。その後に大きな期待を抱かせる展開だ。これだけでもこの作品の質の高さを伺うことができる。

マヌエルは高利貸メンドーサに復讐するためにメンドーサの娘ドロレス(アドリアーナ・アムベシ)を誘拐し、賞金稼ぎジャンゴは、メンドーサに依頼されてドロレスを連れ戻すためにマヌエルの後を追うという設定。両者ともにそれなりの行動理由があり、マヌエルが極悪非道の悪党に描かれているわけではないので、ますます両者の対決への期待がたかまっていく。最初に出会った2人は、拳銃に頼らず殴り合いによって互いの腕前を確認する。お互いを認めあった2人は手を組んで1000kgの金塊を強奪する計画を立てる。人殺しをせぬ条件で手を貸したジャンゴだったが、マヌエルは裏切り、金塊を積んだ馬車の乗客を皆殺しにすると、すべての金塊を奪って逃走した。この馬車にジャンゴと将来を誓い合った酒場の女ミジェーヌ(ロレダナ・ヌシアク)も乗り合わせていたため、彼女は殺され、復讐を誓ったジャンゴは、再びマヌエルに対決を挑む。

賞金稼ぎとお尋ね者との間に友情が生まれるという展開は、両者の友情が最後まで続けば「殺し屋がやって来た(66)」のパターンになり、友情が壊れて非情の対決をするということになればこの作品のパターンとなる。ただ、惜しむべきはこの金塊強奪を境にして、マヌエルがただの悪党に成り下がってしまったこと。救い出したドロレスがマヌエルと心を通じており、ジャンゴを裏切るという思いがけない展開はあるものの、せっかく一時は友情を結んだ相手だけに、マヌエルの扱いをもっと丁寧にしてほしかった気がする。

マヌエルを追ってタンパの村に乗り込んだジャンゴは待ち受けるマヌエルの手下を1人また1人と倒していく。ここもマカロニウエスタンの面白さを満載したシーンではあるが、マヌエルがただの悪党の親玉に過ぎないため1対1の対決の緊迫感を盛り上げるまでにはいたらなかった。ジャンゴの拳銃に撃ち倒されたマヌエルの父(フェルナンド・サンチョ)の亡きがらに泣きながら歩み寄るマヌエル。マヌエルは、父の腰につけた拳銃を抜き取るとジャンゴめがけて威嚇射撃を1発、すぐに跳び起きると同時に、横にあったライフルを手に取って、ジャンゴめがけて流し打ち。マヌエルの格好良い見せ場だ。しかし、そのライフルの弾丸はすぐに尽きてしまった。情無用の銃弾がマヌエルに1発、2発、3発。リアルといえばリアルだが、あまりにもあっけない幕切れ。友情を絡ませながら両者の宿命の対決を描けばさらに奥深い作品に仕上がったのではないだろうかと惜しまれてならない。

なお、ジャン・マリア・ボロンテの実弟であるクラウディオ・カマソは数本のマカロニウエスタンに出演したもののなかなか役柄に恵まれず、挙句には殺人事件を犯して逮捕され、獄中で自殺するという哀れな末路を迎えてしまった。