「サルタナに出会ったならば死を祈れ(68)」

SE INCONTRI SARTANA PREGA PER LA TUA MORTE(伊)「サルタナに出会ったならば死を祈れ」、SARTANA(英)「サルタナ」劇場未公開

カテゴリー(Gianni Garko)

監督フランク・クレイマー、脚本レナート・イッツォ、ジャン・フランコ・パロリーニ(フランク・クレイマー)、撮影サンドロ・マンコーリ、音楽ピエロ・ピッチォーニ、出演ジャンニ・ガルコ、ウイリアム・バーガー、フェルナンド・サンチョ、クラウス・キンスキー、シドニー・チャップリン、ジャンニ・リッツォ、ハイジ・フィッシャー、フランコ・ペセ、サル・ボージェス

「砂塵に血を吐け(67)」の強烈なキャラクター、サルタナが独立して新しいシリーズとして始まった記念すべき第1作。サルタナシリーズはどれも傑作だが、この1作目の成功があったからこそ続々と好作品が続いたということがいえる。マカロニ全盛期の作品でありながら日本でとうとう1本も公開されないまま終わったのはあまりに残念だ。DVDを通して是非ともこのサルタナシリーズ、特に本作は本邦初公開してほしいものだ。

馬車で運ばれる途中の金がホセ・マヌエル・フランシス・メンドーサ・モンテスマ・デ・ラ・プラタ・カレンツア・タンピコ・ロドリゲス(フェルナンド・サンチョ)率いる山賊一味から奪われる。しかし、その裏では悪徳銀行家ジェフ・スチュオール(シドニー・チャップリン)が糸を引き、自らの銀行から輸送される金を着服した上に保険金もせしめようと画策していたのだ。ホセが奪った金は、さらに白人のギャング団、ラスキー(ウイリアム・バーガー)一味に奪われ、さらにラスキーは自らの部下をマシンガンで皆殺しにして金を独り占めするという目まぐるしい展開。しかも、金が詰められているはずの金庫に入っていたのはただの石塊だった。果たして金はどこに消え失せたのか、真の黒幕は誰なのか、その謎を、解明していくのが、ふらりと町に現れた秘密兵器を駆使するスーパーガンマン、サルタナ(ジャンニ・ガルコ)。

ラスキーは金塊強奪の真相をうやむやにする目的で、銀行家ジェフに雇われていたのだが、裏をかかれたホセはラスキーを拷問にかけ真の犯人はジェフであることをつきとめる。ホセの一味はジェフが墓地に隠した金塊を横取りするものの、またしてもラスキーのマシンガンでホセ一味は皆殺し、ところが棺桶の中に入っていたのも石だった、という三つ巴、四つ巴の登場人物が複雑にからみ合い物語は展開していく。最後の最後で、金は、ジェフの仲間だった銀行家の一人アル・ホールマン(ジャンニ・リッツォ)が葬儀場に隠していることが明らかになるが、彼も妻のイブリン・ホールマン(ハイジ・フィッシャー)に殺されてしまう。なんと、イブリンとラスキーは愛人関係にあったのだ。

かなり複雑でごちゃごちゃなストーリーだが、意外とすんなり理解できるのは、演出のテンポのよさ故。さらに、アイデア豊かなガンプレイとギミックが次から次に登場し、飽きさせない。様々な小道具が生かされるからこそ、ラスキーから撃たれて死んだはずのサルタナが生きていたり、空だったはずの拳銃から弾丸が発射されたり、というマカロニお得意のどんでん返しも納得できるものになり面白さが増してくる。本作品で特に活躍するのがサルタナ愛用の4連発の小型拳銃。この銃の独特の構造がラストの決闘のあっと驚く逆転劇につながっていく。

さらにこのサルタナものの素晴らしい点は、画面がそれぞれ十分に計算された“絵”になっていること。ライフルを肩にかつぎマントを翻したサルタナが相手の方をゆっくりと向き直るシーンなどの間の取り方とポーズは歌舞伎の見栄を連想させる。マカロニウエスタンの魅力は主人公の執念の描き方にあるが、それと同時に格好良さの追求も絶対に忘れてはならないポイント。その格好良さをとことん追求した完成形がこのサルタナなのだ。マカロニウエスタンはこうでなくてはいけない。

本作の唯一のウイークポイントは、音楽。ピエロ・ピッチォーニの曲は独特の個性をもってはいるのだが、軽快な本作にマッチしているかといえば、首をひねらざるを得ない。そのため、サルタナシリーズの音楽は、2作目はバスコ&マンキューソ、3作目以降は、ブルーノ・ニコライが担当することになって、音楽の面でもマカロニらしさがさらに高められることになる。ちなみに、クラウス・キンスキーがキャストとして大きくクレジットされているが、彼の役柄殺し屋モーガンは、あくまで、ゲスト出演で、序盤に画面から姿を消してしまう。