「地獄の幌馬車(68)」

ALL’ULTIMO SANGUE(伊)「最後の血」、BURY THEM DEEP(英)「奴らを深く埋めろ」劇場未公開、TV公開題名「地獄の幌馬車」

カテゴリー(Craig Hill)

監督ジョン・バード、脚本エンゾ・デラクア、パオロ・モッファ、撮影フランコ・ビラ、アリステッド・マサセッチ、音楽ニコ・フィデンコ、出演クレイグ・ヒル、エットレ・マンニ、ケン・ウッド、ホセ・グレシ

TVも含めたクレイグ・ヒルの日本公開作品の中でもこの作品ははずれ。「さすらいの一匹狼(66)」か「情無用のコルト(66)」のシーンをそのまま使ってつなぎ合わせた作品だからだ。初めて観たときはうんざりしたものだが、日本未公開作品の中にはこうした使い回し作品がけっこう多く存在することを知った今では、場面のつなぎ合わせに苦心している本作はまだマシな方なのかもしれない。

ビリーガン(ケン・ウッド)率いる一味に奪われた軍用金を取り戻すために派遣された情報将校ノートン(クレイグ・ヒル)と案内に雇われた脱走兵キャリコ(エットレ・マンニ)の話。開幕は、ビリーガンの馬車襲撃から銀行員に化けて銀行で奇兵隊を待ち伏せするシーンが描かれているが、ここは全て「さすらいの一匹狼」の場面、元ネタでは、騎兵隊に化けた山賊が銀行側から返り討ちにされるシーンが、逆転して騎兵隊が待ち伏したギャングから掃滅されるシーンとして描かれていることになる。その後もやはり「さすらいの一匹狼」の山賊襲撃シーンがあまり意味もなく挿入される。

その合間に、逃げ出そうとするキャリコとノートンのやり取りが続き、ビリーガンの元にたどりついた二人だったが、キャリコはノートンに、ビリーガンと決着をつけたいと申し出る。ビリーガンは実はキャリコの弟でキャリコの妻ペピータ(ホセ・グレシ)は、今やビリーガンの女になっているという因縁がここで明らかにされる。このあたりは、「砂塵に血を吐け(67)」と似た設定。ビリーガンをそそのかしたキャリコは仲間を裏切って奪った軍用金を持ち逃げしたビリーガンとナイフによる格闘で決着を付けようとするがその巻き添えを食ってペピータは命を失う。

その後唐突に登場した山賊一味から捕らえられたキャリコとノートンは、騎兵隊から救出され、さらには止めを刺すことができないキャリコに代わってビリーガンをノートンが倒すという結末を迎える。アクションシーン場面がつぎはぎなのだから話のつじつまが合う道理がない。しかも、助けてくれた相手を殴って服を奪うなど、ヒーローのモラルがなってないのも納得できない。唯一救われるのは、ニコ・フィデンコの音楽。しかし、音楽が流れる颯爽としたタイトルシーンも「さすらいの一匹狼」そのままだ。