「要塞攻防戦/ダーティセブン(72)」

UNA RAGIONE PER VIVER E UNA RAGIONE PER MORIRE(伊)「生きる理由、死ぬ理由」、MASSACRE AT FORT HOLMAN(英)「ホルマン砦の皆殺し」劇場未公開、TV/DVD公開題名「要塞攻防戦/ダーティセブン」

カテゴリー(Hollywood actor)

監督トニノ・バレリー、脚本アーネスト・ガスタルディ、トニノ・バレリー、撮影アレハンドロ・ウロア、音楽リズ・オルトラーニ、出演ジェームス・コバーン、バッド・スペンサー、テリー・サバラス、ベニト・ステファネリ、ホセ・スアレス、レネ・コルドホフ

犯罪アクションか戦争映画のような題名だが、歴としたマカロニウエスタン、しかも「怒りの荒野(67)」のスタッフがジェームス・コバーン、バッド・スペンサー、テリー・サバラスという豪華なキャストを起用して制作した作品だけに大きな期待を抱かせる。しかし、実際作品に触れてみると、その出来には?マークをつけざるを得ない。

息子を人質にとられたため、砦を明け渡した北軍の大佐ベン・ブローク(ジェームス・コバーン)は、汚名挽回の機会を与えられ、縛り首になる寸前の死刑囚の中から6人の特攻隊を率いて、再び砦の奪回を目指す。しかし、集めた死刑囚たちは、プロークの旧友であるイーライ(バッド・スペンサー)を除いては、命惜しさで着いてきたならず者ばかり、砦の黄金を餌に彼らをなんとか従わせたブローク大佐は、南軍兵士に変装したイーライを砦に潜入させ、味方が砦に殴り込む手はずを整えていく。

ここで宿敵となる南軍の指揮官ワード(テリー・サバラス)が、彼らの前に立ちふさがる強力な存在にならなければならないはずなのだが、これが全く情けない。せっかくイーライがスパイであることに気づきながら、苦し紛れにイーライがついた「砦の警備状況を視察に来た」というハッタリにまんまと騙されおろおろする有様だ。

結局、ブロークら特攻隊の砦への侵入を易々と許し、銃撃戦となる。このアクションシーンは、爆破の多用や、大勢のエキストラなど、多額の予算が使われていることが分かる。ところが、たった7人相手に戦う砦の兵隊達の弱いこと弱いこと、無防備に飛び出してくるところをばたばたとガトリングガンやダイナマイトで倒すだけだから、少数で奇襲をかける側の悲壮感も全く伝わってこない。マカロニに登場する軍隊は弱いというのは常識だが、そこにも限度があるはずだ。

少数の特命隊による砦の奇襲というステレオタイプのストーリー展開は、なによりもメンバーの個性が重要だが、メンバーを集める段階から6人の死刑囚をそのまま連れてきてしまうという安易な集め方をしているために、それぞれの特技や性格を設定することもできていない。従って演じる役者達もマカロニ常連の端役によって構成されることになる。そのため、戦う敵が強大でなければ、どんなに派手に見せてもアクションはつまらないものになってしまうということを証明するだけの作品になってしまった。

「夕陽のギャングたち(70)」の主演で、マカロニウエスタン初出演を果たしたジェームス・コバーンも今回の出演は、きっと後悔したに違いない。音楽もリズ・オルトラーニ作曲の戦争映画のような主題曲はあるものの、主な挿入曲は、他のオルトラーニ作品の使い回しに終わっている点も残念。