「大西部無頼列伝(71)」

INDIO BLACK(伊)「インディオ・ブラック」、ADIOS SABATA(英)「さよならサバタ」劇場公開作品

カテゴリー( Hollywood actor)

監督フランク・クレイマー、脚本レナート・イッゾ、ジャン・フランコ・パロリーニ、撮影サンドロ・マンコーリ、音楽ブルーノ・ニコライ、出演ユル・ブリンナー、ディーン・リード、ペドロ・サンチェス、ジェラード・ハーター、サル・ボージェス

名作西部劇「荒野の七人」に出演した俳優はその後、意外に多くマカロニウエスタンに出演している。チャールズ・ブロンソン、ジェームス・コバーン、イーライ・ウォラック、そして本作品にはとうとう御大のユル・ブリンナーまで登場することとなった。ハリウッド西部劇のファンからは金に目がくらんだ裏切り者よばわりされたらしいが、ハリウッドの名優がマカロニウエスタンの中で、マカロニに染まりきるか、米製の雰囲気をマカロニに運び込むかを見届けるのはなかなか興味深いものがある。

この作品は元々インディオ・ブラックという新キャラクターとして創作されたが、内容の類似性からリー・バン・クリーフの個性を生かしきった“サバタ”シリーズの第2作目として公開されることになった。そのため、主人公はインディオ・ブラックという名前を持ちながら、映画の中ではサバタと呼ばれている。秘密兵器を駆使する無敵のスーパーガンマンで、常にゆとりたっぷりのサバタの個性はユル・ブリンナーにはぴったり。ブリンナーはおなじみの黒づくめの服装に革の長いフリンジを付けたきざなスタイルで登場する。

「西部悪人伝(70)」をそのままオーストリアの支配下にあったメキシコに移したようなストーリーで、オーストリア軍の軍資金を革命軍と協力してぶんどる話。サバタ(ユル・ブリンナー)は、稼いだ賞金を孤児院にこっそりと寄付するという、タイガーマスクばりのヒューマンな賞金稼ぎだ。そんな彼を、オーストリア軍のスキメル大佐(ジェラード・ハーター)は買収して、自分たちの味方につけようとするのだが、その一方で革命軍のリーダー(ペドロ・サンチェス)と通じていたサバタは、オーストリア軍を出し抜いて軍の金を強奪しようと図る。強奪計画にうまく取り入りながらすきを見て金を横取りしようとする小悪党バランタイン(ディーン・リード)が、画家に化けて聞き出した軍資金輸送計画を革命軍に伝え、強奪は成功。ところが、実は輸送されていた金は偽物で、本物はマキシミリアン皇帝が降伏するであろうことを見越していたスキメル大佐が着服していたのだった。

それを知ったサバタと仲間たちは、スキメル大佐の砦に殴り込みを敢行する。とはいうものの大勢の敵に少数で立ち向かう悲壮感など皆無。サバタシリーズの特色である、ゆとりある戦いが全編に盛り込まれ、サバタは数々の秘密兵器を駆使しながらオーストリア軍をバッタバッタと倒していく。初期のマカロニウエスタンが持っていた悲愴感や壮絶さは影を潜めているのはこれまで通り。その代わり、次々に登場する新兵器や工夫を凝らしたガンプレイが魅力となっている。

中でもこの作品のみに登場する新しい武器の数々は見ていて楽しい。主人公サバタが用いる武器はガンズバイブルと呼ばれるカセット式のガン。10連の弾装を手で押し込みながら連発する。機関銃をトランジスタ化して機動力を増してある面白い銃だ。もうひとつ、印象に残るのが、革命軍の戦士の1人セプテンブレ(サル・ボージェス)が使うキックガンという武器。ガンと名付けられているが、銃ではない。手にもてあそんでいる直系3センチ程の鋼鉄製の玉を靴の上に作られた玉受けに落とす。それと同時に力いっぱい蹴りあげて、相手の顔面にその玉をヒットさせるのである。このアイデアは大変面白い。その他、試験管の中にニトログリセリンをつめてダイナマイトの代わりに使ったり、相手を処刑する前に“死のフラメンコ”を踊ったりと娯楽映画らしい見せ場がもりだくさん。深みはないがアクション満載の作品として楽しめる。