「五人の軍隊(69)」

UN ESERCITO DI CINQUE UOMINI(伊)「五人の軍隊」、FIVE MEN ARMY(英)「五人の軍隊」劇場公開作品

カテゴリー( Hollywood actor)

監督ドン・テイラー、イタロ・ズンガレリ、脚本ダリオ・アルジェント、マーク・リチャーズ、撮影エンツォ・バルボーニ、音楽エンニオ・モリコーネ、出演ピーター・グレープス、丹羽哲郎、バッド・スペンサー、ニーノ・カステル・ヌオーボ、ジェームス・ダリー、ダニエル・ジョルダーノ

日本から丹羽哲郎、ハリウッドから「スパイ大作戦」のピーター・グレープスを招いてバラエティ豊かなキャストを揃えて製作した集団アクション。メキシコ革命を背景としているために原題を直訳した戦争映画のような邦題がつけられているが、正真正銘のマカロニウエスタンである。

メキシコ軍が列車で輸送する黄金を革命軍のために強奪する計画が立てられる。そのために雇われたのが5人のプロ。リーダーのダッチマン(ピーター・グレープス)、ナイフと日本刀の達人サムライ(丹羽哲郎)、爆破のプロ、オーガスタス(ジェームス・ダリー)、怪力の巨漢メシト(バッド・スペンサー)、そして革命軍のために奔走するメキシコ青年ルイス(ニーノ・カステル・ヌオーボ)である。丹羽は5人の中の1人として溶け込んでいるため、「野獣暁に死す(68)」の仲代達矢のように浮き上がった感じがしないのが良い。日本刀と投げナイフを駆使して活躍するシーンが比較的多く用意してあるのも日本から海を渡ったゲストへの礼儀のつもりかもしれない。

一方のゲスト、ピーター・グレープスはといえば、それほどの存在感がない。渋いマスクと大柄の体格を生かして単独の主演作を作ればそれなりにマカロニウエスタンの雰囲気を出せる俳優ではないかと思われる。しかし、この作品では、全体のまとめ役といった仕事しかしておらず、彼の個性が生きるところまでは至っていない。「スパイ大作戦」のマカロニウエスタン版と考え、あえてグレイプスは、「スパイ大作戦」のジム・フェルプス役を引きずって、リーダー役に徹したのかもしれない。

物語は1点集中型、映画の後半はまさに、列車の襲撃シーンのみで展開される。この映画の価値はこの列車襲撃に集約されている。力ずくで奪うのではなく、それぞれの役割分担をきっちりきめた頭脳戦である。兵隊に化けて列車に忍び込み、黄金を運ぶ列車を切り離して仮設した線路を通して廃屋に引き込んでしまおうという大胆な作戦だ。しかし、その作戦遂行の過程には数々の障害が待ち構えていた。

連結を切断するダイナマイトの消音カバーを落としたり、金を運ぶ車両の兵隊を始末する役割を請け負っていたサムライが衝撃で列車の外に投げ出されたり、引き込み先の廃屋にたまたま通りかかった兵隊達がいつまでも居座ったりと、次々と発生するトラブルをいかに処理していくかという点が興味の中心になる。1対1の対決や撃ち合いのシーンは少ないが、あちこちと場面が移らず1つの目的にそって物語が展開していく点が面白さのポイント。

ラストも奪った黄金の使い方をめぐって5人の間に対決 ムードが高まるが、結局は民衆のためというところで決着をみる。一匹狼の執念や恩怨から、マカロニの国際化に伴い登場人物がどんどんヒューマンになっていく後期のマカロニらしい特徴をもった結末だ。モリコーネの素晴らしいテーマ曲に乗って、アイデアとチームで戦うアクションの面白さを満載した良質のマカロニウエスタンである。