「七人の特命隊(68)」

AMMAZZALI TUTTI E TORNA SOLO(伊)「全員殺して一人で帰って来い」、KILL THEM OLL AND COME BACK ALONE(英)「全員殺して一人で帰って来い」劇場公開作品

カテゴリー( Hollywood actor)

監督エンツィオ・G・カスティラーリ、脚本ティト・カルピ、フランチェスコ・スカルダマリア、ヨアキム・ロメロ・ヘルナンデス、エンツィオ・G・カスティラーリ、撮影アレッサンドロ・ウロア、音楽フランチェスコ・デ・マージ、出演チャック・コナーズ、フランク・ウォルフ、レオ・アンチェリス、フランコ・チッティ、ケン・ウッド、アルベルト・デラクア、ヘラクレス・コルテス、

マカロニウエスタンの本質を本当に知り尽くしていたのは、セルジオ・コルブッテであろうことは、繰り返し述べてきた。それならば、彼の魂を継げる監督は誰かと問われるならば、それは、エンツィオ・G・カスティラーリであろう。初期の作品や、コメディ路線の「オニオン流れ者(75)」などからは伺うことはできないが、60年代後半から70年代に入ってからの彼の作品群は、正に非情、壮烈、そして男の執念を余すところなく描き出している。中でもこの「七人の特命隊」はその特色が最も顕著に表れた作品として挙げられるだろう。

それに、もうひとつ特徴的なことがある。マカロニウエスタンの後期には「七人の侍」のパターンを踏襲した集団ヒーローが活躍する作品が現れた。「五人の軍隊(69)」「五匹の用心棒(66)」「野獣暁に死す(68)」などいくつかの作品があるが、その中にあってこの「七人の特命隊」が最も人物の個性が際立っている。何より他の集団ヒーローものは、それぞれが協力し合う仲間として描かれているが、この作品は、「全員殺して一人で帰って来い」という原題が示す通り、目的のため一応チームを作ってはいるが、それぞれが油断ならない敵同士なのだ。この設定が他の集団ヒーローものにない独特の緊迫感を生み出した。全編を通して女性の影も形も見えない正に硬派の男の意 地と執念を描き出す壮烈なアクションだ。

北軍の砦に保管されている金貨強奪のために南軍側は6人のプロを雇った。集められたのはいずれ劣らぬ特技の持ち主ばかり。頭脳明晰でガンの腕も抜群のリーダー、マッケイ(チャック・コナーズ)、早撃ちの名手ホーギー(フランコ・チッティ)、ナイフ使いのブレード(ケン・ウッド)、ロケット砲を使うデッカー(レオ・アンチェリス)、軽業師の若者キッド(アルベルト・デラクワ)、人の体を片腕でへし折る怪力男ポガード(ヘラクレス・コルテス)という凄い顔触れだ。彼らは南軍の情報将校リンチ(フランク・ウォルフ)の案内で北軍の砦へ向かう。北軍の砦に馬を進める7人の姿を1人1人映し出しながら、フランチェスコ・デ・マージのテーマ曲が流れるタイトルは抜群に格好良い。

予想通り彼らの活躍は目覚ましかった。しかし、マッケイには情報将校から極秘の指令が下されていた。「この任務は誰にも知られていてはならない。金貨強奪に成功したら、仲間も全員殺して1人で帰って来い。」普通ならば、 こんな命令が出たなら主人公は悩むか、一笑に付すところだろうが、チャック・コナーズ演じるマッケイはさにあらず。非情に徹する彼は悩むことなく命令を実行しようとするのである。自ら手を下して仲間を殺すのではなく、北軍の砦の中に彼らを置き去りにするという方法で。

金貨を積んだ馬車が勝手に走り去る姿を見送る5人の表情をカメラは1人1人とらえていく。いずれ劣らぬ、強烈な個性を持った連中が憎悪に満ちた目で睨みつけるこのシーンも凄かった。残された5人も一筋縄ではいかない。ホーギーの抜き撃ちが火を吐き、デッカーのロケット砲が砦の壁を破壊する。5人は自力で砦を脱出するのである。マッケイの後を追う彼らは、金貨を積んで川を渡ろうとする彼に追いつくことに成功する。筏に乗り移った5人から問い詰められて絶体絶命のマッケイだったが、ここに北軍の追っ手も到着する。金貨を運んでいることを北軍に気付かれてはおしまいだ。積んであった金貨の箱を6人は次々に川へ投げ込む。この途中で、追っ手から撃たれたとみせたホーギーは川の中へ転落し、彼を除いた5人は北軍に捕らえられてしまうのである。ホーギーは死んではいなかった。川の中の金貨を独り占めするためにわざと死んだように見せかけたのだ。このハイテンポで目まぐるしく変化し、先の予想ができないストーリー展開は素晴らしい。

この後も、彼らを連れてきた情報将校リンチは、金目当ての北軍のスパイだったこと が判明し、互いに組んだり裏切ったりしながら血みどろの黄金争奪戦が続く。個室に連れて行かれながら無傷で返されたポガードを裏切り者とみなして他のメンバーは牢獄でボガードとを殺してしまう凄惨さ。さらに捕虜となった5人が北軍の捕虜収容所から脱出する場面がひとつの見せ場だ。収容所の脱出でブレード、キッドの2人が壮絶な最期を遂げるが、それぞれの死に様も見せ場を作って格好良い。

オーバーオールの白い綿パンツにキャップをかぶったおよそガンマンらしくないスタイルで見事な抜き撃ちを見せるパゾリーニ監督作品の常連フランコ・チッティをはじめとして、肩口から袖をちぎり取り、おそろしく太い上腕を剥き出しにした現役プロレスラーのヘラクレス・コルテス、黒づくめのスタイルに白いマフラーをなびかせ粋でアクロバティックなアクションを見 せるアルベルト・デラクア、バンダナを巻いてその風貌を引き立てるケン・ウッドなど登場人物のそれぞれが、チョッキにテンガロンハットというガンマン像とは異なったファッションで独特の個性を保っているのも見事だ。

勿論、中心人物のチャック・コナーズもぴったりのマカロニガンマン役だ。ライフルマンで名を挙げて数々の米国製西部劇に出演した彼もマカロニウエスタンの雰囲気を強く漂わせる俳優のひとり。彼はもっとマカロニウエスタンに招かれても良かったのではないだろうか。ただ唯一惜しまれるのはラスト。仲間割れの揚げ句互いに殺しあっていく7人の中で1人が生き残って黄金を独り占めするという展開はいただけない。最後に残った1人も壮絶な最期を遂げて、争いのむなしさを漂わせる幕切れにすれば、もっと印象的な作品になっていたはずである。