「懸賞金は貴様にやる、奴を殺るのは俺だ(70)」

LA TAGLIA E TUA…L’UOMO L’AMMAZZO IO(伊)「懸賞金は貴様にやる、奴を殺るのは俺だ」、EL PURO, REWARD’S YOURS…THE MAN’S MINE(英)「エルプロが狙っている、奴を殺るのは俺だ」劇場未公開

カテゴリー( Robert Woods)

監督エドワード・G・ミューラー、脚本イグナシオ・イクイーノ(エドワード・G・ミューラー)、ファブリツィオ・ジャンニ、撮影アントニオ・モディカ、音楽アレッサンドロ・アレッサンドローニ、出演ロバート・ウッズ、マーク・フィオリーニ、ファブリツィオ・ジャンニ、ロザルバ・ネリ、アルド・ベルチ、マリオ・ブレガ、グスタボ・レ

ストーリーの概要だけをたどれば、賞金稼ぎが賞金首のお尋ね者を倒すという単純な物語。しかし、その内容は単純には割り切れぬ大変癖の強い仕上がりになっている。本作が公開された後にカルト作品扱いされるようになったことも納得できる、映像的にかなり過激でユニークな作品だ。

主人公はエル・プロの異名で知られるお尋ね者のガンマン、ジョー・ビショップ(ロバート・ウッズ)。しかし、彼はアル中に陥っており、恋人のロージー(ロザルバ・ネリ)のヒモに落ちぶれている。そのため、賞金稼ぎの一団が彼の首を狙っているという情報を旧友のフェルナンド(ファブリツィオ・ジャンニ)からもたらされても、なかなか戦いの腰を上げず、のらりくらりと戦いをかわしていくのがまだるっこしい。

一方、ビショップをつけねらう賞金稼ぎの5人組がまた個性的、この中でも、リーダー格のジプシー・ブーツ(マーク・フィオリーニ)は、ビショップに強い恨みを抱いており題名通り「懸賞金は貴様にやる、奴を殺るのは俺だ」の状態。ジプシーの狂気に満ちた演技が本作の注目点の一つ。夜中にいきなり飛び起きて指鉄砲でパンパンと撃つ真似をする、頭のねじが外れているこの男は、プロの留守中に仲間のキャシディと(アルド・ベルチ)とロージーを襲い、なんと殴り殺してしまうのだ。しかも、凄惨な殺人を犯した後、ロージーの亡骸を横に屈強な男同士のジプシーとキャシディが、口づけを交わすという、言葉を失ってしまうような描写。数あるマカロニウエスタンでもここまで狂った描写がなされる作品は少ない。

悪名高い「情無用のジャンゴ(66)」ですら、露骨な同性愛描写はなかった。こんな、賞金稼ぎから追われるビショップも災難だが、恋人を殺されてもまだ活躍するまでには到らず、ロージー殺しの嫌疑で逮捕されてしまうという有様だ。やっと、フェルナンドの手を借りて脱獄したビショップは、アルコールを断ち、単身挑んできた若い賞金稼ぎドルフ(マウリツオ・ボナグリア)を返り討ちにする。ドルフの死を嘆き悲しんだジプシーの一味は、仇討ちとプロの賞金のため町に乗り込んでくる。

平気で女性を殴り殺す残虐な賞金稼ぎたちが、仲間とはいえ、若いドルフの死を激しく嘆くのは、ここにも同性愛の要素が絡んでいると思われる。ここで、ジプシー一味との対決に臨むプロが、愛用の拳銃を分解し、各パーツに油を差して丁寧に組み立てていく場面がマカロニウエスタンファンにはたまらないもう一つの見せ場。下着の上から吊りズボンだけを履き、足は裸足というなかなか個性的なアル中ルックで決闘に挑んだプロは、フェルナンドと協力して、賞金稼ぎ一味を倒す。この対決の決着もジプシーが大変ユニークな死に様を見せる。

全ての敵を葬り去り意気揚々と町を出るプロの背後をなんと、賞金稼ぎグループから、一度は離脱したショーティ(ファブリツィオ・ジャンニ)が狙っていた。通常は、おまけのように付け加える西部劇ではお定まりのシーンだが、なんとショーティの銃弾を喰ったプロは絶命し、エンドマークとなる。それまでのマンネリから脱却しようとする描写と正調マカロニウエスタンの雰囲気の融合が、成功した例とみなすことができる。「続・夕陽のガンマン(66)」そっくりのアレッサンドロ・アレッサンドローニの音楽は、エンニオ・モリコーネ作品へのオマージュだ。